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以前から幾つかの記事でお知らせしていますが、難治性で重症のクローン病と潰瘍性大腸炎に対して骨髄移植を施すという新しい治療法が開発されつつあります。 ところで、自分から採取した骨髄細胞を自分自身に再び注入する自家骨髄移植では、今までは採取した骨髄細胞から造血幹細胞だけを選び出すという過程を入れて実施していました。免疫機構の中心的存在であるT細胞も混じって注入されてしまうと効果が無いのではないかと考えられているからです。しかし今回、イタリアの研究グループが造血幹細胞だけを選び出さなくてもうまくいくようだとの研究結果を発表したようです。難治性であらゆる治療法をもちいても改善しないクローン病患者4人に造血幹細胞だけを選び出さずにT細胞も一緒に再注入する自家骨髄移植を実施してみたところ、4人のうち3人が完全な緩解に到ったそうです。1人は移植後も腸からの出血がみられているそうなのですが、クローン病が原因の出血かどうかはよくわからないそうです。 採取された骨髄細胞から混入したT細胞を除かなくても移植がうまくいくということが分かれば、造血幹細胞のより出しという余計な操作を省くことが出来ますので、より安全に骨髄移植をほどこすことができる可能性があるようです。 治療の甲斐なく重症の状態が続くクローン病に対しては自家骨髄移植がおこなわれるという時代がこの先来るかもしれません。 この論文が書かれた時点では、移植後の追跡観察期間は平均16.5ヵ月間だったそうですが、その後も完全な緩解が続いているのかどうか、気になるところです。 【今回概要を紹介する論文】 Autologous haematopoietic stem cell transplantation without CD34+ cell selection in refractory Crohn's disease.Cassinotti A, Annaloro C, Ardizzone S, Onida F, Della Volpe A, Clerici M, Usardi P, Greco S, Maconi G, Porro GB, Deliliers GL. Gut. 2008 Feb;57(2):211-7. Epub 2007 Sep 25. [論文概要.html] (英語) ▽▽▽▽▽▽ ここから論文の概要 ▽▽▽▽▽▽ ▽▽▽▽▽▽ ここから内容が少し専門的 ▽▽▽▽▽▽ 治療の内容 治験に参加したのは、ミラノにあるL.Sacco大学病院で治療を受けている難治性でインフリキシマブ(レミケード)などあらゆる標準的治療を試しても効果がみられなかった中等症から重症のクローン病患者4人。 患者にシクロフォスファミドと顆粒球コロニー刺激因子を投与することによって造血幹細胞を骨髄から血液中に遊出させ、白血球除去装置によってそれらを集め、凍結保存した。 (草はみ注: 「造血幹細胞」は白血球にも赤血球にも血小板にもなることが出来るうぶな細胞のことです。シクロフォスファミドは抗癌剤や免疫抑制剤として使われる薬剤ですが、骨髄の細胞を血液中に遊出させるのにも用いられるようです。大量に投与することによって体内の白血球の数を減らすことにも用いられるようです。顆粒球コロニー刺激因子は白血球の増殖を刺激する薬剤です。) シクロフォスファミドとウサギ抗胸腺細胞グロブリンでもって患者の体内から骨髄細胞を排除し、次に採取して保存しておいた造血幹細胞を静脈より注入した。 患者は無菌室に入り、細菌感染症予防のためにlevofloxacinやfluconazoleを、ウイルス感染症予防のためにacyclovirを投与された。高い発熱があった場合にはpiperacillin/tazobactamやamikacinなどの抗菌剤で治療した。 移植に関して、重大な副作用はみられなかった。注入した骨髄細胞の定着は順調だった。 △△△△△△ ここまで内容が少し専門的 △△△△△△ 治験に参加した患者の詳しい個別経過 【患者1】 28才。病歴12年。小腸大腸型。狭窄が出来易いタイプ。肛門周囲病変なし。腸管外合併症なし。5ASA剤、ステロイド剤、抗菌剤(抗生物質。メトロニダゾール、シプロフロキサシン、アモキシシリン、リファキシミンなどを使用した)、アザチオプリン(免疫抑制剤)、インフリキシマブ(商標:レミケード)、メトトレキサート(免疫抑制剤)、サリドマイド(免疫抑制剤。副作用として鎮静作用が強く出て中止)などで治療したが改善せず。手術歴あり(回腸2ヵ所を切除。15ヵ所を狭窄形成術)。腸管出血により1-2本/週の輸血が必要だった。 骨髄細胞採取を実施中に肛門周囲ろう孔が出来、膿瘍(=膿の袋)が出来た。外科的に膿を排出し、抗菌剤でもって治療した。移植後、輸血が必要なくなった。副作用として胸膜および心のう液貯留に関連した胸部痛がみられたが、治療によって解決した。 移植後、1ヵ月以内に緩解に到った。 この患者のみが移植後に再燃した。移植後4ヵ月目に黒色便(=血が混じって黒くなった便)と重篤な貧血がみられた。アザチオプリン(免疫抑制剤)とインフリキシマブ(商標:レミケード)で対処したが効果はなかった。輸血をおこなった。施設にダブルバルーン内視鏡が装備されたので、早速小腸を観察したところ、以前に狭窄形成術をほどこした近くに潰瘍と出血が認められた。組織検査の結果は原因不明の炎症がみられるというものだった。ラクチュロース呼気試験を実施してみたところ小腸での異常な細菌増殖があるとの結果だったが、メトロニダゾール、シプロフロキサシン、アモキシシリン、リファキシミンなどの抗生物質を投与してみても効果はなかった。結局輸血を続けざるを得なくなった。 便中のカルプロテクチンの濃度が高かったので、炎症的なものが関与している可能性が高い。ただ、以前に狭窄形成術を実施したときに出血源が小腸に出来た血管腫であることが判明している。出血の原因はそれかもしれない。 【患者2】 37才。病歴4年。小腸大腸型。ろう孔が出来易いタイプ。肛門周囲病変あり(ろう管切除とシートン設置を実施)。腸管外合併症として関節痛あり。5ASA剤、ステロイド剤、抗菌剤(=抗生物質)、アザチオプリン(免疫抑制剤。副作用として急性すい炎がみられ中止)、メトトレキサート(免疫抑制剤)、インフリキシマブ(商標:レミケード)で治療したが改善せず。 移植後も、5ASA剤の局所投与と、肛門周囲ろう孔の治療としてシプロフロキサシンとメトロニダゾールの投与は続けられたが、3ヵ月目に緩解に到り、全ての投薬を切ることが出来た。腸管外合併症の関節痛もみられなくなった。肛門周囲病変については、直腸-膣ろう孔が6ヵ月目までに治ゆした。移植から12ヵ月後に内視鏡検査をしたが、病変は見られなかった。 【患者3】 47才。病歴23年。大腸型。ろう孔が出来易いタイプ。腸管外合併症として強直性脊椎炎(HLA-B27陰性タイプ)あり。5ASA剤、ステロイド剤、アザチオプリン(免疫抑制剤。副作用として急性すい炎がみられ中止)、6メルカプトプリン(免疫抑制剤。副作用として肝炎と白血球減少がみられ中止)、メトトレキサート(免疫抑制剤)、インフリキシマブ(商標:レミケード)、セルトリズマブ・ペゴル(商標:Cimzia。インフリキシマブと同じ系統の薬剤)で治療したが改善せず。 移植後も、肛門周囲ろう孔に対する治療としてシプロフロキサシンとメトロニダゾールの投与は続けられた。 移植後、1ヵ月以内に緩解に到った。腸管外合併症の関節痛もみられなくなった。肛門周囲病変は12ヵ月以内に治ゆした。12ヵ月後におこなわれた内視鏡検査では病変は全くみられず、病歴において初めての内視鏡的に完全な緩解が認められた。 【患者4】 29才。病歴7年。小腸大腸型。ろう孔が出来易いタイプ。肛門周囲病変あり。腸管外合併症あり(関節痛)。5ASA剤、ステロイド剤、抗菌剤(抗生物質)、アザチオプリン(免疫抑制剤)、メトトレキサート(免疫抑制剤)、インフリキシマブ(商標レミケード)で治療したが改善せず。手術歴あり(大腸を1ヵ所切除)。 移植後に、副作用としてBKウイルスが関係した血尿がみられたが、水分を多く摂ることで解決した。 移植後、1ヵ月以内に緩解に到った。肛門周囲病変は12ヵ月以内に完全に治ゆした。12ヵ月後におこなわれた内視鏡検査では病変は全くみられず、病歴において初めての内視鏡的に完全な緩解を認めた。 ▽▽▽▽▽▽ ここから内容が少し専門的 ▽▽▽▽▽▽ 考察 自己免疫疾患患者に対する自家造血幹細胞移植においては、採取した骨髄細胞からT細胞を除去してから移植するのが一般的であり、そうすることによって疾患の発症に関わっているT細胞が再び自己免疫疾患を引き起こすのを防ぐことが出来るとされている。 自家造血幹細胞移植における死亡率は1から8パーセントとされているが、これは非常に重症で難治のクローン病の死亡率とほぼ同じと思われる。「1から8パーセント」という数字はクローン病よりも重篤な疾患での実施も含めての数字であるから、クローン病においてはかなり低いと予測できる。 今回の我々の治験は、血液から採取した血球より造血幹細胞(CD34+の細胞)を選別してから移植しなくても、安全に効果的にクローン病を治療できることを示すものである。 造血幹細胞を集める過程で、シクロフォスファミドと顆粒球コロニー刺激因子を投与することによって造血幹細胞を骨髄から血液中に遊出させ、白血球除去装置によって集めるということがおこなわれるが、シクロフォスファミドの投与や顆粒球コロニー刺激因子の投与や装置による白血球除去にはクローン病に対する治療効果があるために、この過程がクローン病を改善しているのであって骨髄移植は病状改善とは関係ないのではないかという意見もあるが、採取過程においては投与量が少ないし期間も短いので、そうではないと我々は考える。造血幹細胞を採取する過程だけをおこなう患者群と採取のあとに骨髄移植をおこなう患者群を比較する無作為治験が、現在、ヨーロッパで計画されている。 △△△△△△ ここまで内容が少し専門的 △△△△△△ △△△△△△ ここまで論文の概要 △△△△△△ 【そのほかに参考とした記事】 Risultati promettenti del trapianto autologo di cellule staminali senza selezione CD34+ nella malattia di Crohn refrattaria. (イタリア語)
by pascor
| 2008-05-10 15:51
| クローン病
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