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以前、『USAのにきび治療薬でCDを発症したとして7.5億円賠償』で紹介しましたが、USAで難治性ニキビの治療薬として広く使われているイソトレチノイン(商品名:Accutane)を使用した人が副作用としてクローン病を発症し大腸摘出を余儀なくされたとして製薬会社のRoche社に損害賠償を求めて訴えを起こし、USAの裁判所はRoche社に700万ドル(日本円:約7億3千万円)の賠償を命じる判決を出したそうなのですが、Accutaneを使用した女性が副作用として潰瘍性大腸炎を発症したとして訴えていた別の裁判で、USAの裁判所はRoche社に1050万ドル(日本円:約11億円)の賠償を命じる判決を出したそうです。 (上の写真はwikipedia英語版の「イソトレチノイン」から引用) http://en.wikipedia.org/wiki/Isotretinoin Accutaneの使用で炎症性腸疾患(IBD)を発症したとしてRoche社を訴え判決が出た3例目なのだそうですが、3例とも億単位の賠償金を勝ち取っているそうです。そして、同様の訴訟を起こしている炎症性腸疾患患者が500人近くもいるそうです。 Accutaneはニキビの治療薬としてUSAでは1982年に認可されたそうなのですが、そのときから重大な副作用がとり沙汰されてきたそうです。クローン病や潰瘍性大腸炎のほかに、胎児の重い奇形、うつによる自殺などと関係があるのではとされているようです。そのほかに、肝臓、腎臓、中枢神経、膵臓、心臓、筋骨格系、免疫系に副作用が出る可能性があるとされているようです。 今回勝訴したユタ州在住の24才の女性は12才の時にAccutaneの服用を始め、14才のときに潰瘍性大腸炎と診断され、2006年に大腸を摘出し、現在はひどい下痢に悩まされているそうです。 Roche社はAccutaneの服用と炎症性腸疾患発症の因果関係は証明されていないと主張しているそうです。 イソトレチノインはビタミンAの分子構造に少し改造を加えた物質です。上側の構造式はイソトレチノインのもので下側はビタミンA(retinoic acid)のものです。分子の尻尾の先が折れ曲がっているか真っ直ぐかだけの違いです。構造化学的見地からもう少し専門的に言いますと、カルボキシル基が2重結合に関してzusammenの位置にあるかentgegenの位置にあるかです。 日本ではイソトレチノインは認可されていないのですが、似たような分子構造の薬剤が、ニキビの治療薬としてではないのですが、幾つか認可されているようです。それらの薬剤もクローン病発症の引き金になっていないかどうかを詳しく調べる必要があるかもしれません。 イソトレチノインの重大な副作用としては (1) 胎児の奇形、流産、死産、早産 (2) 鬱、精神病(幻覚、幻聴)、自傷行為、自殺企図などの重大な精神疾患 などがあげられているそうです。 それにしても11億円というのはすごい金額です。 【情報源】 Accutane Injury Results in $10.5 Million Judgment
by pascor
| 2008-04-29 01:00
| 両疾患共通
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