by pascor カテゴリ
⇒記事のタイトル一覧2 ⇒記事のタイトル一覧1 両疾患共通 潰瘍性大腸炎 クローン病 新薬開発状況 IBD有名人 リンク集 書籍紹介 生薬実験 イベント告知 青黛自家製造 雑記 病状報告 【仮設掲示板】 タグ
雑記(152)
青黛(106) 発症・増悪の原因(64) 新薬開発状況(64) IBD有名人(26) 板藍根(24) 【仮設掲示板】(22) 副作用(21) 腸内細菌(21) 花(20) 海(19) ATM療法(18) MAP菌(16) 癌(15) 関連遺伝子(14) 機械いじり(14) TV番組(12) 食品由来物質(11) インフルエンザ(10) だんじり(8) 再生医療(8) 聖書(8) 薬師寺(8) 般若心経(7) イベント告知(7) 語学(7) Q&A(7) 四郷の串柿(6) 金剛山(6) 東大寺(6) コロナウイルス(6) 寄生虫療法(6) 音楽(6) 正倉院展(5) 合併症(5) 食事内容の影響(5) 医学用語(5) 診断法(5) 二月堂お水取り(5) クリスマス(5) 大和葛城山(4) サイトメガロウイルス(3) リンク集(3) 包近の桃の花(2) 山上ヶ岳(2) 回腸嚢炎(1) 岩湧山(1) 書籍紹介(1) 叡福寺(1) 病状報告(1) 患者団体活動(1) 診察(1) 当麻寺のお練り供養(1) 最新の記事
最新のコメント
記事ランキング
ライフログ
最新情報リンク
◇News-Medical.Netのタグ"Inflammatory Bowel Disease" ◇News-Medical.Netのタグ"Ulcerative Colitis" ◇News-Medical.Netのタグ"Crohn's Disease" ◇Healio/Gastro./IBD ◇Science Dailyのタグ"Colitis" ◇Science Dailyのタグ"Crohn's Disease" ◇HealthDayのタグ"Ulcerative Colitis" ◇HealthDayのタグ"Crohn's Disease" ◇HCPLiveのタグ"Ulcerative Colitis" ◇HCPLiveのタグ"Gastroenterology" ◇PHARMASTARのタグ"malattie infiammatorie intestinali" ◇Ärzte Zeitungのタグ"Chronische Darmentzündunge" ◇USAの患者団体CCF配信のIBD最新情報 ◇スペインの患者団体ACCU配信のIBD最新情報 ◇フランスの患者団体AFA配信のIBD最新情報 ◇オランダの患者団体CCUVN配信の最新情報 ◇イタリアの患者団体AMICI配信のIBD最新情報 ◇ブラジルの患者団体ABCD配信のIBD最新情報 ◇ドイツの患者団体DCCV配信のIBD最新情報 当ページの記事について 当ブログの記事の作成におきましては、正確性の確保に細心の注意をはらってはおりますが、内容に誤りがまぎれ込んでしまう可能性を完全には否定できません。内容の誤りによって何らかの損害が生じた場合、当方は皆様に対して責任を取ることは出来ませんので、ご了承ください。医学的内容および薬学的内容につきましては、必ず複数の専門家にご確認をなさってください。 また、医学は日進月歩の分野ですので、投稿から年月が経ってしまいますと記事の内容は古くなり、徐々に正確性が損なわれてきます。従いまして、各記事をお読みになる際には、最初に必ず投稿の日付をご確認になってください。 また、医学的内容を解説するにあたって「黒人」「白人」「黄色人種」などの分類名称を使用する事がありますが、これは医学分野では疫学的解明においてどうしてもそのようなデータ分類が必要だからであり、決して人種差別的意味合いを含めてのものではありません。 略語 IBD: 炎症性腸疾患 UC: 潰瘍性大腸炎 CD: クローン病 (IBD≒UCとCD) QOL: 日常生活の良好度 ステロイド剤: ステロイド系抗炎症剤 ストーマ: 人工肛門 治験の段階について 厚生労働省の認可を目指しての臨床試験(治験)には4つの段階がありまして、基本的に以下のとおりです。 ◇第1相(フェイズⅠ)は、少数の健康志願者を対象に、安全性のテストと、体内での薬剤の移動のデータ取りを行う。 ◇第2相(フェイズⅡ)は、同意を得た少数の患者を対象に、有効で安全な投薬量、投薬期間、投薬方法などを決定する。 ◇第3相(フェイズⅢ)は、同意を得た多数の患者を対象に、「二重しゃへい試験」などによるより厳密な形式でもって、既存薬などと比較しての有効性および安全性をチェックする。一般的には、この段階が終了した時点で国へ認可を求める申請がされる。 ◇第4相(フェイズⅣ)は、全ての薬に対して必須ではないが、認可された薬について、市販後も何年間か副作用発現などの情報を調査し、まとめる。その結果は厚生労働省に報告される。 草はみプロフィール 男。50歳代。大阪在住。大阪生まれで、たこ焼きソースの産湯につかったコテコテの大阪人。大学生の時に発症。潰瘍性大腸炎だと診断されたのは発症から9年後。その間、無治療で苦しむ。2006年の夏に検査で「抗フソバクテリウム・バリウム抗体」が陽性と出、ATM療法を実施して体調は良好に。しかし、2008年3月に再燃。生薬(しょうやく)の青黛(せいたい)を取り寄せて実験的に使用してみて著効がみられ、再び緩解。2010年1月に再燃。生薬の板藍根を2週間服用。7月に寛解。趣味は水泳など。座右の銘は「塵も積もれば山となる。山も砕けば塵となる」。このブログを人類が潰瘍性大腸炎とクローン病を克服するまで続ける予定。なお、目標達成後はタイトルを『草はみの雑記帳』に変える予定(笑)。 Welcome! I, Kusahami, an ulcerative colitis patient, collect the latest news articles about Ulcerative Colitis and Crohn’s Disease from various sources written in English, French, German, Italian, Spanish, Portuguese, Dutch, Chinese and Japanese, then digest them into easy-to-read expression without jargon as far as possible, and present them to Japanese patients. I'll continue to pile up my articles on this blog until we humankind overcome UC and CD. Since Oct. 2005. All Rights Reserved. Copyright by Kusahami. |
「経口ステロイド剤はプレドニゾロン換算で5mg/日なら副作用は(理論的には)出ないはずだ」と発言する医師が少なからずいるようですが、患者の証言を集めてみますと、5mg/日でも様々な副作用にみまわれたという例がたくさん存在するようです。「出ないはずだ」と発言する医師は、「人間の副腎は天然のステロイドを一日に5mg分泌しているので、それと同じ量なら副作用は出ないはずである」という理論を根拠としているようです。(ところで、5mg+5mgで10mg/日となると思うのですが(?_?)。経口ステロイド剤を飲んでいる人は、全員、副腎は完全にお休みするのでしょうか???) 理論的推測よりは臨床的事実のほうを重視するという近年の医学界の傾向です。そこで、5mg/日服用での副作用の発現について調べた研究の論文を探してみましたところ、興味深いものを発見しました。計約50万人分のデータを解析計算した結果、1日に経口ステロイド剤をプレドニゾロン換算2.5mg~7.5mg使用していた人は、大腿骨頸部骨折のリスクが1.77倍、脊椎(せきつい)骨折のリスクが2.59倍だったという結果が出たそうです。5mg/日という少量でも重篤な副作用のリスクが上がっているそうです。ということはもちろん重篤でない副作用のリスクもこの量で高くなっている可能性があると思います。 その論文の概要を以下に紹介したいと思います。 ◆Use of oral corticosteroids and risk of fractures. (英語) Van Staa TP, Leufkens HG, Abenhaim L, Zhang B, Cooper C. J Bone Miner Res. 2000 Jun;15(6):993-1000. [無料全文.html]/[無料全文.pdf] ▽▽▽▽▽▽ ここから論文の概要の紹介 ▽▽▽▽▽▽ UKの健康当局が管理するGeneral Practice Research Databaseという電子データベースから18歳以上の経口ステロイド剤使用者24万4235人分のデータと、年齢・性別・疾患の内容が同じである非経口ステロイド剤(塗り薬や吸入剤や滴下剤)使用者24万4235人分のデータを抽出して、両者を比較した。 (草はみ注: イギリスでは国民の通院状況、診察内容、投薬状況などの電子データがかなりの規模で国の管理するデータベースに集められているようです。プライバシーを保護したうえで研究の目的にも用いられているようです。) (草はみ注: 「経口ステロイド剤」は飲み薬のステロイド剤のことで、血液に入って全身に到達するので副作用が出現しやすいです。一方、「非経口ステロイド剤」は炎症のある局所だけに投与するステロイド剤なので、比較的全身には薬剤がまわりにくく、副作用が出現しにくいそうです。「経口ステロイド剤使用群 対 ステロイド剤一切不使用群」という形の研究だと両群の間の病状の経過に相違が出てしまい正確な結果が得られませんので、「経口ステロイド使用群 対 非経口ステロイド剤使用群」という設定の研究にしたようです。ちなみに、現在、潰瘍性大腸炎やクローン病の治療においてはブデソニドという、全身にまわらないタイプのステロイド剤が海外では使用されているようです。) 対象者の内訳は、呼吸器疾患が40%、呼吸器関連疾患が13%、皮膚疾患と骨格筋疾患が6%だった。 (草はみ注: 残念ながら炎症性腸疾患(IBD)患者は何%だったのかは論文に書かれていません。おそらく、6%以下だったのだと思います。) 対象者の年齢の平均は57才。経口ステロイド剤使用者群においてデータ解析の対象とした投与期間は平均1.3年。 (草はみ注: 平均年齢が少し高いような気がします。潰瘍性大腸炎もクローン病も若い患者が多い疾患ですので、出来れば若い人のデータだけを更に抽出して別に統計計算をして発表して欲しいところです。) 統計的計算の結果、 非経口ステロイド剤使用者と比較して、 大腿骨頸部骨折のリスクは、 経口プレドニゾロン(商品名プレドニン等)を 1日に2.5mg以下使用していた人は0.99倍、 1日に2.5mg~7.5mg使用していた人は1.77倍、 1日に7.5mg以上使用していた人は2.27倍、 脊椎骨折のリスクは、 1日に2.5mg以下使用していた人は1.55倍、 1日に2.5mg~7.5mg使用していた人は2.59倍、 1日に7.5mg以上使用していた人は5.18倍 だった。 また、骨折のリスクは経口ステロイド剤の使用をやめるとすぐに非経口ステロイド剤使用者と同じレベルまで下がるという結果が得られた。 △△△△△△ ここまで論文の概要の紹介 △△△△△△ ということで、この研究では5mg/日程度の少量の服用でも大腿骨頸部骨折(大腿骨骨頭壊死)や脊椎骨折といった重篤な副作用のリスクが上がるという結果が出たようです。重篤な副作用のリスクが上がるくらいですから、ムーンフェイス、躁、ウツといったほかの副作用のリスクも当然上がる可能性があると思います。 本当は治験参加者を新規に募集して経口ステロイド剤を投与する群と非経口ステロイド剤を投与する群にランダムに振り分けてといった方法で、プロスペクティブ治験を実施したほうがデータとしての信頼性がより高いのかもしれませんが、ただ、その方法だと、50万人のデータを集めるというのはまず無理です。よって、50万人分という膨大なデータを対象としたこの治験の結果はそれなりにかなり参考になるものだと思います。 【そのほかに参考とした文献】 ◆Population-based assessment of adverse events associated with long-term glucocorticoid use. (英語) Curtis JR, Westfall AO, Allison J, Bijlsma JW, Freeman A, George V, Kovac SH, Spettell CM, Saag KG. Arthritis Rheum. 2006 Jun 15;55(3):420-6. [無料全文.html]
by pascor
| 2007-06-07 22:14
| 両疾患共通
|
Comments(4)
Commented
by
なんだろうくん
at 2007-08-30 14:42
x
>重篤な副作用のリスクが上がるくらいですから、当然、ムーンフェイスや躁やウツといったほかの副作用のリスクも当然上がるのだと思います。
その考え方はどうでしょうか。ステロイドは細胞内の作用点が非常に多いお薬であり,実際には出る副作用,出ない副作用,またその出方のタイプが飲み方によって異なります。従って「大は小を兼ねる」的な考え方はあてはまらないと考えます。 また, >5mg+5mgで10mg/日となると思うのですが(?_?)。経口ステロイド剤を飲んでいる人は、全員、副腎は完全にお休みするのでしょうか? については,フィードバックがかかって少しお休みをします。 長期に連用しますと,副腎の機能がサボってしまうので,手術や高熱などの大きな体に対する「ストレス」がかかるような状態では,少し副腎ステロイドを補ってあげる必要があることがあります。
Commented
by
草はみ
at 2007-08-30 21:53
x
なんだろうくんさん、こんばんは。
>従って「大は小を兼ねる」的な考え方はあてはまらないと考えます。 本文の第2段落では「重篤でない副作用のリスクもこの量で高くなっている可能性があると思います」と正確に記述していたのですが、これに整合させる形で該当部分も「ムーンフェイスや躁やウツといったほかの副作用のリスクも当然上がる可能性もあると思います」と訂正させていただきました。 >については,フィードバックがかかって少しお休みをします。長期に連用しますと,副腎の機能がサボってしまうので,手術や高熱などの大きな体に対する「ストレス」がかかるような状態では,少し副腎ステロイドを補ってあげる必要があることがあります。 そこの文章で問題提起させていただいたのは、5mg/日という少用量でもフィードバック制御が働いて副腎皮質による天然ステロイドの生産がぴたっと止まるのかという疑問です。どの使用量以上になれば制御のスイッチがONになるのかといういわゆる閾(しきい)値が、100人いれば100人とも5mg/日以下なのかという疑問です。
Commented
by
ジミー
at 2014-10-16 22:35
x
こんにちはくさはみさん。
勉強になります。ここにも 聖マリアンナ医科大学内科客員教授 市川陽一先生がステロイド剤は少量でも副作用が出るように書いていらっしゃいます。 http://www.kyorin-pharm.co.jp/prodinfo/useful/doctorsalon/upload_docs/130657-1-21.pdf このあたりの臨床的事実を研究して、医師の間に広める必要はあるのでしょうね。
Commented
by
草はみ
at 2014-10-18 22:12
x
ジミーさん、情報をありがとうございます。
(^^) ステロイド剤は、少量の使用でも、重篤なものも含め、副作用が出る事があるという事実が、医療の現場のすみずみにまで着実に周知される事を願うところです。
|
ファン申請 |
||