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海外で流れていた新薬の開発状況に関する情報です。 製剤化したものを開発中のようですが、新薬というよりは新しい治療法と表現したほうがいいかも知れません。今までと違った全く新しい系統の治療法です。他人の骨髄から採取した間葉系幹細胞を患者に移植するというものです。 【開発コード】 OTI-010 【海外での商品名】 Prochymal 【薬剤の系統】 健康成人骨髄由来間葉系幹細胞製剤 【現在の開発者】 Osiris Therapeutics, Inc. 【開発の段階】 海外: クローン病に対して第3相 【投与形態】 静脈点滴 【既に認可を得ている適応】 無し 【ほかに治験が実施されている疾患】 海外: 移植片対宿主病対して第3相 【詳細】 以前にこのブログに投稿した記事、 難治性CDに対する自家骨髄移植 で紹介しましたように、難病とされている疾患のうち半数程度は骨髄移植によって治癒する可能性があるのではないかと予測されていまして、その中には潰瘍性大腸炎とクローン病も含まれているようです。実際、例えば、潰瘍性大腸炎の患者が更に白血病も発症したので白血病に対する治療として骨髄移植を実施したところ、白血病だけでなく潰瘍性大腸炎まで治ってしまったといった症例の報告が世界各地からあがってきているそうです。ただ、治癒する見込みがあるとは言え、死亡の可能性もある重篤な副作用が起こる可能性もありますので、骨髄移植はそうは簡単に実施に踏み切れない治療法です。 現在、より安全な骨髄移植の方法が盛んに研究されているようです。 骨髄には、将来いろいろな細胞に分化することが出来る「幹細胞」が存在し、「造血幹細胞」と「間葉系幹細胞」(かんようけかんさいぼう)とがあるそうです。 造血幹細胞は各種白血球や赤血球などに変身します。 間葉系幹細胞は骨や筋肉や血管や神経の細胞に変身します。 今までは造血幹細胞だけが注目されていましたが、間葉系幹細胞にも研究者の目が集まるようになってきたようです。 従来の骨髄移植は造血幹細胞だけを患者に移植するものでしたが、同時に間葉系幹細胞も移植することによって成功率が高くなるようであるということで、そういった手法の骨髄移植の開発も進められているようです。間葉系幹細胞は移植を受けた患者の骨髄の中で造血幹細胞を守り、生着率をあげるのだそうです。 Prochymalは健康な成人の骨髄から採取した間葉系幹細胞を製剤化したものだそうです。静脈より点滴注入するそうです。どのような血球の型を持つ患者にも投与可能なのだそうです。 Prochymalの作用のメカニズムとしては、 ◆TNFアルファやインターフェロン・ガンマなどの炎症誘起性サイトカインの産生を減少させる ◆白血球の一種である樹状細胞やT細胞に働きかけてサイトカイン産生の傾向を変えさせ、炎症を抑え、病状の進行を止める ◆間葉系幹細胞が成長因子を分泌することによって組織の再生や不要組織の崩壊を促進して修復を助ける などが仮説として考えられているようです。 Osiris社が中等症から重症のクローン病患者を対象として1週間に2回投与した治験では、比較的低用量で短期間の投与でも著明な効果がみられたそうです。用量が多いほど効果が高かったそうです。Prochymalが原因であると関連付けられる重篤な副作用はみられなかったと発表しています。 Prochymalは移植の際に起こることのある副作用である移植片対宿主病に対する治療法として開発がされてきたようですが、クローン病や関節リウマチなどの免疫疾患にも効果が期待されているそうです。移植片対宿主病に対しても海外で治験が進行中のようで、現在第3相だそうです。 【主な情報源】 ◆Osiris Therapeutics Receives European Orphan Drug Designation for PROCHYMAL(TM) http://investor.osiris.com/releasedetail.cfm?ReleaseID=225660 ◆Prochymal Crohn's Disease Clinical Trial http://www.osiristx.com/clinical_trials_prochymal_crohns.php
by pascor
| 2007-02-15 20:37
| 新薬開発状況
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Comments(1)
Commented
by
朝食ヨーグルト
at 2007-02-15 23:39
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こんばんは! 草はみさんサンキューありがとう 草はみさんのブログを読んでいると治療が確立される日が近いような気がしますね 先週のフローラ療法に関する記事もとても勉強になりましたよ それとPROCHYMALと同じかわからないけど東京医科歯科大の渡邉先生の研究も少し注目してる
また新着あったら教えてください 楽しみにしてます☆
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