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以前にこのブログの記事 「大腸癌の組織から多量のフソバクテリウムを検出」[2011-10-28] で、フソバクテリウム属に属する細菌の1つであるフソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)が大腸癌発症に関わっている可能性があることを皆さんにお知らせしましたが、その後も関わりを示す論文が少しずつ発表され、そして今回、説得力がある論文が発表されました。 同じくフソバクテリウム属に属する細菌であるフソバクテリウム・バリウム(Fusobacterium varium)が潰瘍性大腸炎の発症や増悪に深く関わっている可能性がある事を、以前から「ATM療法」というタグを付けたこのブログの記事で紹介してきましたが、フソバクテリウム属の細菌の中には人間の健康に非常に深い影響を及ぼすものが少なからずいるのかも知れません。 将来ひょっとすると、大腸癌の治療メニューに「フソバクテリウム・ヌクレアタムの除菌」という項目が加わる事になるのかも知れません。また、潰瘍性大腸炎の全大腸型や家族性大腸腺腫症などの、大腸癌を発症する確率が高い疾患の患者に、フソバクテリウム・ヌクレアタムの除菌を予防として実施する事になるかも知れません。 更に、食道癌の組織からフソバクテリウム・ヌクレアタムのDNAが検出された食道癌患者は生存率が低いという報告が熊本大学の研究チームから出ています。 更に、すい臓癌の組織からフソバクテリウム属の細菌が検出されたすい臓癌患者は生存率が低いという報告が札幌医科大学の研究チームから出ています。興味深い事に、すい臓癌組織のどこにフソバクテリウムがいるかをfish法で調べたところ、すい臓癌に隣接する周囲脂肪組織から検出されたそうです。 フソバクテリウム・ヌクレアタムはそのほかのさまざまな消化器癌の発症や増殖にも関わっている可能性があるのかも知れません。 ▽▽▽▽▽▽ ここから内容が少し専門的 ▽▽▽▽▽▽ フソバクテリウムはヒトの腸管内腔の細菌叢(=フローラ)においては目立った構成員ではないそうです。フソバクテリウム・ヌクレアタム(Fn)は「口の中の歯垢に棲んでいて、バイオフィルムを張っておのが身を守り、悪臭の元となる酪酸を分泌する、歯周病の原因菌のひとつ」というふうに今まで医学界や歯学界で認識されてきた嫌気性細菌です。 以前に発表されていた関連研究論文の内容からは、 1)Fnが大腸癌の発症や増殖に関わっている 2)Fnが大腸癌病変部へやって来て、そこで増殖している のどちらなのかがはっきり分かりませんでしたが、今回の研究で(1)のほうである可能性が高くなってきました。 【今回概要を紹介する論文】 ◆Fusobacterium nucleatum Increases Proliferation of Colorectal Cancer Cells and Tumor Development in Mice by Activating TLR4 Signaling to NFκB, Upregulating Expression of microRNA-21. Yongzhi Yang, Wenhao Weng, Junjie Peng, Leiming Hong, Lei Yang, Yuji Toiyama, Renyuan Gao, Minfeng Liu, Mingming Yin, Cheng Pan, Hao Li, Bomin Guo, Qingchao Zhu, Qing Wei, Mary-Pat Moyer, Ping Wang, Sanjun Cai, Ajay Goel, Huanlong Qin, Yanlei Ma. Gastroenterology, Published online: November 19, 2016 <論文の概要> (英語) ▽▽▽▽▽▽ ここから論文の概要 ▽▽▽▽▽▽ ◆in vitro(=ガラス実験器具内)の実験で、大腸癌細胞をフソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)と共に培養したところ、大腸癌細胞の増殖と浸潤能が促進された。 ◆BALB/Cヌードマウスに、フソバクテリウム・ヌクレアタムに感染した大腸癌細胞と感染していない大腸癌細胞を移植してみたところ、感染した大腸癌細胞を移植したほうが腫瘍がより大きく、より早く成長した。 ◆生まれつき腺腫(adenoma)ができやすい体質の遺伝子改変マウスAPCmin/+のエサにフソバクテリウム・ヌクレアタムを混ぜてみたところ、大腸癌の発生が促進され、寿命もより短かった。炎症マーカーであるinterleukin 17F [IL17F]、IL21、IL22、MIP3Aの血中濃度が増加していた。 ◆in vitroの実験で、大腸癌細胞をフソバクテリウム・ヌクレアタムと共に培養したところ、発癌に関連しているとみられているマイクロRNAであるmiR21が4倍以上に増加していた。 ◆in vitroの実験で、大腸癌細胞をフソバクテリウム・ヌクレアタムと共に培養している中へmiR21阻害剤を加えたところ、大腸癌細胞の増殖と浸潤能が抑制された。 ◆miR21を遺伝子的に持たない遺伝子改変マウスを作成し、炎症誘起薬剤を投与してみたところ、miR21遺伝子を持つマウスよりも、下血や下痢がより軽度で、より長生きした。 ◆miR21を遺伝子的に持たない遺伝子改変マウスと完全なmiR21遺伝子を持つマウスのエサにフソバクテリウム・ヌクレアタムを混ぜてみたところ、miR21を遺伝子的に持たないマウスのほうが腫瘍の数がより少なく、腫瘍の大きさがより小さく、生存期間がより長くなった。 ◆細胞へのフソバクテリウム・ヌクレアタムの感染→TLR4の活性化→MYD88の活性化→NFkBの活性化→miR21の発現促進→発癌抑制遺伝子RASA1の抑制→発癌。 ◆大腸癌患者の大腸癌組織ではフソバクテリウム・ヌクレアタムのDNAとmiR21の濃度が高かった。 ◆腫瘍から高濃度のフソバクテリウム・ヌクレアタムのDNAとmiR21が検出された大腸癌患者は生存期間が短かった。 △△△△△△ ここまで論文の概要 △△△△△△ フソバクテリウム・ヌクレアタムが細胞に接着、内部侵入するメカニズムはほかの論文で既に発表されていまして、フソバクテリウム・ヌクレアタムが持つadhesinの一種であるFadAが相手細胞側のE-cadhelinに結合する事によるとされています。E-cadhelin上の結合領域も既に解析されていまして、11のアミノ酸からなる部位で、その部位に対する結合阻害剤を投与する事でフソバクテリウム・ヌクレアタムの発癌・増殖促進作用を阻害する事ができるかも知れません。そのほかにも、接着、内部侵入に関連しているかも知れないたんぱく質としてFap2などが報告されているようです。 △△△△△△ ここまで内容が少し専門的 △△△△△△ 【そのほかに参考とした情報】 ◆Fusobacterium nucleatum promotes colorectal carcinogenesis by modulating E-cadherin/β-catenin signaling via its FadA adhesin. Rubinstein MR, Wang X, Liu W, Hao Y, Cai G, Han YW. Cell Host Microbe. 2013 Aug 14;14(2):195-206. doi: 10.1016/j.chom.2013.07.012. <論文の概要> <掲載誌の公式無料全文> (英語) ◆Fap2 Mediates Fusobacterium nucleatum Colorectal Adenocarcinoma Enrichment by Binding to Tumor-Expressed Gal-GalNAc. Abed J, Emgård JE, Zamir G, Faroja M, Almogy G, Grenov A, Sol A, Naor R, Pikarsky E, Atlan KA, Mellul A, Chaushu S, Manson AL, Earl AM, Ou N, Brennan CA, Garrett WS, Bachrach G. Cell Host Microbe. 2016 Aug 10;20(2):215-25. doi: 10.1016/j.chom.2016.07.006. <論文の概要> (英語) ◆Fusobacterium nucleatum potentiates intestinal tumorigenesis and modulates the tumor-immune microenvironment. Kostic AD, Chun E, Robertson L, Glickman JN, Gallini CA, Michaud M, Clancy TE, Chung DC, Lochhead P, Hold GL, El-Omar EM, Brenner D, Fuchs CS, Meyerson M, Garrett WS. Cell Host Microbe. 2013 Aug 14;14(2):207-15. doi: 10.1016/j.chom.2013.07.007. <論文の概要> <掲載誌の公式無料全文> (英語) ◆Association of Fusobacterium nucleatum with immunity and molecular alterations in colorectal cancer. Nosho K, Sukawa Y, Adachi Y, Ito M, Mitsuhashi K, Kurihara H, Kanno S, Yamamoto I, Ishigami K, Igarashi H, Maruyama R, Imai K, Yamamoto H, Shinomura Y. World J Gastroenterol. 2016 Jan 14;22(2):557-66. doi: 10.3748/wjg.v22.i2.557. <論文の概要> <掲載誌の公式無料全文> (英語) ◆Study suggests link between bacterium and oesophageal cancer survival (英語) Cancer Research UK - 24 October 2016 ◆Association of Fusobacterium species in pancreatic cancer tissues with molecular features and prognosis. Mitsuhashi K, Nosho K, Sukawa Y, Matsunaga Y1 Ito M, Kurihara H, Kanno S, Igarashi H, Naito T, Adachi Y, Tachibana M, Tanuma T, Maguchi H, Shinohara T, Hasegawa T, Imamura M, Kimura Y, Hirata K, Maruyama R, Suzuki H, Imai K, Yamamoto H, Shinomura Y. Oncotarget. 2015 Mar 30;6(9):7209-20. <論文の概要> <掲載誌の公式無料全文> (英語) ◆札幌医科大学 医学部 消化器内科学講座 >消化管 消化器癌における常在微生物群ゲノム解析と分子異常・生命予後との関連 能正 勝彦
by pascor
| 2016-11-22 23:50
| 両疾患共通
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