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寛解に入って間もないクローン病患者にセミ・ベジタリアン食を摂るように指導したところ、セミ・ベジタリアン食を摂らなかった患者と比べて、2年間で寛解維持率にかなりの差がみられたそうです。 ちなみに、「セミ・ベジタリアン食」というのは「準ベジタリアン食」の事のようです。玄米、野菜、乳製品、卵を中心として、少量の魚と、更に少量の肉という内容で、昔の日本食といった印象のメニューです。生活習慣病の予防にもなりますので、寛解維持の方法としては利点が多いものであると思います。 【概要を紹介する論文】 Lifestyle-related disease in Crohn's disease: relapse prevention by a semi-vegetarian diet. World J Gastroenterol. 2010 May 28;16(20):2484-95. Chiba M, Abe T, Tsuda H, Sugawara T, Tsuda S, Tozawa H, Fujiwara K, Imai H. 《無料全文.html》 《無料全文.pdf》 (英語) ▽▽▽▽▽▽ ここから論文の概要 ▽▽▽▽▽▽ 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎とクローン病)は、環境的要因と複合的遺伝要因が発症に関わっている疾患とされ、生活が豊かになった地域で発症率が高い疾患である事から、糖尿病、冠動脈性心疾患、肥満などと同様の疾患であると考えられる。また、食事内容の西洋化による腸内細菌の状態の悪化が発症に関連しているとされ、動物性タンパク質、動物性脂肪、砂糖などの摂取量の増加、食物繊維摂取量の減少なども発症の原因とされる。 我々の病院では2003年から炎症性腸疾患患者に対して準ベジタリアン食を出している。腸内の善玉菌のエサとなる食物繊維が多い内容である。野菜、乳製品、卵を主として、魚は標準の半量を週に1度、肉は標準の半量を2週に1度という具合に基本が構成されている。 我々はこの準ベジタリアン食の寛解維持有効性を確かめるべく、治験を行なった。 インフリキシマブ(商標名:レミケード)などの薬剤投与(17例)または手術(5例)によって寛解に入って間もない成人クローン病入院患者22人に準ベジタリアン食を指導し、喫煙者には禁煙を指導して、2年間観察した。 入院中に治験参加患者に出された食事の具体例 朝食: 玄米ご飯、味噌汁、長芋のすりおろし焼き海苔トッピング、納豆の大根おろし添え、ひじきと厚揚げと枝豆のあえもの。 昼食: 玄米ご飯、ジャガイモとタマネギとトウモロコシのトマトスープ、海苔入り卵焼き、菊花のおひたしの胡麻ドレッシングあえ、たくあん漬け、バナナのヨーグルトあえ。 夕食: 玄米ご飯、味噌汁、チンゲン菜と大豆とワカメの酢醤油あえ、がんもどきと豆腐とゆで卵と茄子とフキとカボチャとサヤエンドウのたき合わせ、かんきつ類。 (草はみ注: 論文のpdfファイル版にカラー画像があります。なお、論文や画像からは味噌汁の具の有無は不明) 退院にあたって、栄養士が、玄米の炊き方など、食事の作り方を指導した。更に医師が、 ・退院後も同様の準ベジタリアン食を続ける事 ・甘い物、パン、チーズ、マーガリン、ファストフード、炭酸飲料、ジュースなどを避ける事 ・タバコを吸わない事 ・定期的に運動する事 ・アルコール類を控える事 ・食事時間を規則正しくする事 ・間食はしない事 などを指導した。 退院後の寛解維持のための薬物投与は、メサラジン(メサラミン)とスルファサラジンだけで、免疫抑制剤は使用しなかった。 (草はみ注: ペンタサ、アサコール、サラゾピリンなどの5ASA系製剤による治療のみだったという事を意味します) 22人のうち、4人は経過観察がまだ2年に達しておらず、1人は関節リウマチの治療ために治験を中止し、1人は住居を変えたためにデータ取りできなくなった。 計画どおり準ベジタリアン食を継続する事が できた患者16人の寛解率は94パーセント(15/16)、 できなかった患者6人の寛解率は33パーセント(2/6) であった。 準ベジタリアン食の継続を完遂できなかったのは、準ベジタリアン食による悪影響のためではなく、食欲に勝てなかったためであった。 (草はみ注: 論文では、2年間の経過観察をまだ終えていない治験継続中の寛解患者まで加えて結果の算出がされていましたので、草はみがそれを除いて計算し直しましたところ、経過観察が完了した16人のうち、準ベジタリアン食を継続する事ができた患者11人の寛解率は91パーセント(10/11)、できなかった患者5人の寛解率は20パーセント(1/5)でした。) ところで、必要カロリー量の半分を成分栄養剤(エレンタールなど)で摂る制限食による或る治験では、1年後、 制限あり群の再燃率は27パーセント(寛解率73パーセント)、 制限なし群の再燃率は64パーセント(寛解率36パーセント) だった。我々の準ベジタリアン食のほうが成績が良かった。 我々の準ベジタリアン食は、日本での一般的なクローン病に対する食事制限に反して食物繊維を適度に含んでいるが、クローン病の寛解を維持する方向に働いた。 △△△△△△ ここまで論文の概要 △△△△△△ 一昔前の日本食を再現したような食事内容です。ただ、再現しようとするにあたって気をつけなくてはならない事は、野菜の栽培において、現在は化学肥料を大量に使った促成的とも言える栽培法が主流ですので、野菜に含まれている栄養分がかつての数分の一であってもおかしくないという事です。卵も、かつては庭に放し飼いにしている鶏が産んだものであったと思います。 また、古い日記などを調べて昔の日本食メニューを再現する際には、徳川幕府はたびたび倹約令を出していますので、役人の目を恐れてメニューを正直に書き記していない可能性を考慮しなければならないと思います。隠れて美味しいものを食べていても、日記には書いていない可能性があります。例えば、牛肉は「鋤」(すき)という隠語で呼ばれて取引され、密かに食べられていたようです。 かつて牛は田畑を耕すための耕運機でもあったので「鋤」という隠語が使われるようになった可能性があるようです。いわゆる「すき焼き」は、農機具の鋤の上で焼いたからこの名が付いたとされていますが、大切な農機具を火にかけるという事をしたかどうか疑問です。鋼(はがね)を火にさらすと金属的に変質して、なまったりして使い物にならなくなる事を知っていたと思います。 ちなみに、鶏肉は防腐効果がある柏の葉で包んで取引されて色も良く似ていたので「かしわ」、猪の肉は鮮やかな赤色が牡丹の花に似ていたので「ぼたん」、鹿肉は猿丸大夫の「紅葉踏み分け鳴く鹿の」から「もみじ」、馬肉は「さくら」などと呼ばれていたようです。 かつて日本には檀家(だんか)制度というものがありました。各家は必ずどこかの寺に所属して傘下に入り、日常的に仏教の指導を受けることになっていました。その教えのひとつに「獣を殺生しないように」というものがありました。しかし農家につきましては、農作物や農地を荒らす野生の鹿、猪、狸、兎などに常に悩まされ、これらを駆除しないことには生きていけませんでした。被害がひどいと飢え死にの可能性もありました。ですので、僧達もこれらに対する殺生は黙認したようです。ところで、罠や鉄砲で駆除したこれらの動物達の処置はどうしたのかといいますと、やはり食肉として密かに流通させたようです。僧達の中にもこれらをこっそり食していた人達が結構いたようです。お寺の古い記録文書の中に、「重要な法要が近付いて来たので、精進潔斎(しょうじんけっさい)のために獣の肉類は食さないよう徹底しなさい」というようなくだりがあったりするようです。 太平洋戦争中および戦後すぐの日本人の食事内容はあまりにも乏しすぎますので、栄養的に全く足りていない可能性があります。 まずいからといって玄米を白米に代えると、栄養的に不足する可能性があると思います。かつて江戸では徳川時代中ころから白米が食べられるようになっていたそうなのですが、歩行困難や精神変調などの脚気(かっけ)の症状に悩まされる人が多く、「江戸わづらい(患い)」などと当時呼ばれて問題になったそうです。また、明治の日本軍においては、「国を守る兵士には白い飯を食べさせてやれ」という事で白米を出していたそうなのですが、やはり脚気にかかる兵が続出し、そのためにかなりの病死兵が出たそうです。脚気は米ヌカなどに多く含まれるビタミンB1の不足が原因です。 ちなみに、海軍においては比較的早くから麦飯などが発症率を下げる事に気が付いて発症者が減ったそうなのですが、その事実を知りながら「病気の原因がはっきりしないのに食事の改善などで病気が治るはずがない」と頭の硬い事を言っていた陸軍では多くの脚気死亡者が出続けたようです。当時陸軍の上級軍医だった森鴎外(森林太郎)が海軍医の麦飯有効説を激しく攻撃したために、正しい対処をとるのが遅れて被害が拡大したというのは有名な話です。鴎外はのちのちまでその過ちを認めなかったそうです。 【参考】 研究チームが出した記者発表: クローン病、潰瘍性大腸炎に効果的なセミベジェタリアン食に関する論文が 「World Journal of Gastroenterology」に掲載 ~ セミベジェタリアン食が再燃防止に極めて有効 ~ 2010年06月18日 社会医療法人明和会 中通総合病院 消化器内科 千葉 満郎
by pascor
| 2010-07-14 23:18
| クローン病
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Comments(6)
初めまして。クローン病を完治させる為に闘っている、こうと申します。
草はみさんのブログは大変参考になりました。特に掲示板がすごく良いと思います。 これからも時々お邪魔しますね。また、勝手ながら自分のブログでリンクさせて頂きました。ご迷惑なようでしたらご一報下さい。(クローン病の針灸治療記のようなものを書いております。)
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774
at 2010-07-15 21:18
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論文のSVDのところにFat (g) 41.4 ± 3.6
とずいぶん2000キロカロリーあたりの脂肪が多いのが意外でした
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草はみ
at 2010-07-16 00:52
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こうさん
わたくしのブログをリンクしていただきありがとうございます。 針灸の先生がおっしゃっていた情報など、また教えてくださればうれしいです。
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草はみ
at 2010-07-16 00:52
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774さん
確かに脂肪が1日あたり約40gになっていますね。意外と多いですね。大豆が多く使われているからかもしれませんね。クローン病に対しては、これ以上多くはしたくないラインですね。
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sada
at 2010-07-17 23:24
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草はみさん、論文の概要と解説どうもありがとうございます。非常に分かりやすくて参考になります。
僕の感想としては、このような緩解維持効果を得るには玄米や野菜で食物繊維をどんどん摂ることが必須なのかどうか興味があります。 というのは、自分の経験では肉や魚を全く食べないだけでも薬を全く使わず症状自体はかなり抑えられるからです。ただ僕は大豆製品が食えないのでこの方針は栄養不足で継続できなかったですが。 それと、この論文では寛解率はものすごく高いですが、人数が少ないのと治験に参加する人を選ぶ時点でかなりバイアスが掛かってる可能性がありそうな気がします。玄米などを食べたら悪化しそうだと自覚してる人は初めから参加しないだろうと思うからです。 それから、腸内細菌の状態、食事内容、クローン病の病状、この3つの要素の因果関係はこの論文では明示的には示されてないと思いますが、実際どの程度関係しているのかなというのも気になりますね。
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草はみ
at 2010-07-18 12:56
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sadaさん
効果は ・食物繊維が多い ・肉あるいは魚が少ない ・上記両方 ・その他の要素 のどれによるのか、今後も治験が必要だと思います。 準ベジタリアン食前後での腸内細菌状態の変化も調査がなされればと思います。 論文の「被験者」という段落には 「我々の病院が準ベジタリアン食を最初に採用したのは2003年で、クローン病患者全員に出してきた。2003年4月から2008年12月までに、19歳以上の成人活動期クローン病患者25人を入院患者として受け入れた。クローン病の診断は(専門家によって)確立された基準に基づいてなされた。(25人のうち)2人は治療によって寛解に入らなかった(ので被験者としなかった)。(中略)。(25人のうち)喫煙者が3人で、そのうち2人は入院後に我々の禁煙勧告を受け入れたが、1人は退院後に喫煙を再開したので被験者としなかった。結局、投薬または手術で寛解に到った22人を被験者とした。」 とあります。 「あそこの病院の食事は素朴な準ベジタリアン食らしいぞ」という噂が患者の間で流れていて、入院病院を選ぶ段階で避けている患者もいるかも知れませんけどね。 (;^^)
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