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中華人民共和国のハンセン病患者の遺伝子を調べたところ、幾つかの遺伝子がハンセン病の発症しやすさに関わっているとの結果が得られたそうなのですが、見付かったそれらの遺伝子の中に、なんとNOD2とTNFSF15が含まれていたそうです。この2つはクローン病の発症しやすさと関連があると報告されている遺伝子で、このブログでも以前にとりあげました。 ハンセン病(らい病)は末梢神経や皮膚などが冒される慢性の疾患です。ハンセン病の原因はハンセン病菌(mycobacterium leprae)による感染症であることが判明しているのですが、この菌は、クローン病の発症に関わっているのではないかと疑われているMAP菌(mycobacterium avium paratuberculosis)と同じマイコバクテリウム属に属しています。 マイコバクテリウム属には、ほかに、結核菌(mycobacterium tuberculosis)も属しています。ハンセン病菌、結核菌、MAP菌に共通する特徴として、 ◇細胞の外側をロウ脂質の膜で覆って免疫細胞による探査を逃れる術を持っている ◇細胞内に寄生して増殖する ◇増殖スピードがかなり遅い ◇抗菌剤を投与してもなかなか死滅しない などがあります。 クローン病とハンセン病に共通する特徴として、 ◇病状が慢性に推移する ◇病変部に変形が起こる事がある ◇若い時に発症する例が多い ◇組織を顕微鏡でみると類上皮細胞性肉芽腫がみられる事がある などがある事ですし、今回ハンセン病の関連遺伝子にクローン病と共通のものが見付かりましたので、クローン病の発症にMAP菌が関係しているという可能性はやはり高いという事になるのかも知れません。 【概要を紹介する論文】 Genomewide association study of leprosy. Zhang FR, Huang W, Chen SM, et al. N Engl J Med. 2009 Dec 31;361(27):2609-18. Epub 2009 Dec 16. [論文要約] (英語) ▽▽▽▽▽▽ ここから論文の概要 ▽▽▽▽▽▽ ハンセン病(ハンセン氏病、らい病)は病原菌であるらい菌(mycobacterium leprae)による慢性の感染症で、皮膚や末梢神経を冒す。近年、抗菌剤多剤併用療法の普及によって患者数は激減したが、いまだに人類の抱える健康問題の1つである。 ◇mycobacterium lepraeは人間にしか感染しない ◇ハンセン病は感染者のうちごく少数だけが発症する ◇mycobacterium lepraeはガラス容器の中での培養が難しい などの特性が詳しい研究の障害となっている。 (草はみ注: 人間だけでなく或る種のアルマジロにも感染することが知られているようです) 免疫機構や常住細菌との相互作用によって、さまざまな症状型があらわれる。「類結核型」と「らい腫型」に大きく分類されるが、免疫の状態が安定しない患者では両方の混合型である「境界型」となる事がある。 「多菌型」と「少菌型」という分類もあり、多菌型には患者の2型ヘルパーT細胞が、少菌型には1型のヘルパーT細胞の免疫反応が関わっているとされる。 (草はみ注: クローン病においても、「大腸型」と「小腸型」と、混合型である「大腸小腸型」に分類されるという事実が存在します。さらに、クローン病には、「穿孔型」と「狭窄型」という分類も存在します) 中華人民共和国のハンセン病患者3960人と対照健康者7180人の遺伝子の型を調べ、統計的解析を行なったところ、ハンセン病の発症と関連があるとの結果が出た遺伝子は、 ▽▽▽▽▽▽ ここから内容が少し専門的 ▽▽▽▽▽▽ (一塩基多型のID番号(rs表記) / 発症リスク倍率) ◇C13orf31 遺伝子 rs3764147 / 1.68倍 rs10507522 / 0.68倍 (草はみ注: 公式フルネームはchromosome 13 open reading frame 31。この遺伝子の詳細はまだ良く解っていないようです。第13番染色体上でCCDC122と隣同士の位置にあるようです。遺伝子変異rs10507522のリスク倍率は0.68倍と1より小さい値ですが、これは、この一塩基多型がハンセン病発症を防御するほうに働いているという事を意味しています) ◇NOD2 遺伝子 rs9302752 / 1.59倍 rs7194886 / 1.63倍 (草はみ注: 公式フルネームはnucleotide-binding oligomerization domain containing 2。この遺伝子は欧米人のクローン病発症と関連がある事が知られています。このNOD2遺伝子の設計図を元にNOD2タンパク質が細胞内で作られる訳ですが、NOD2タンパク質の機能は、細胞の中に入ってきた細菌成分を検出して炎症反応にスイッチを入れる事とされています。具体的には、細菌の外殻を構成するリポポリサッカライドであるmuramyl dipeptideを検出して、NFkB経路を通じて炎症反応を促進する働きをするとされています) ◇CCDC122 rs3088362 / 1.52倍 rs9533634 / 0.76倍 (草はみ注: 公式フルネームはcoiled-coil domain containing 122。この遺伝子の詳細はまだ良く解っていないようです。C13orf31と第13番染色体上で隣同士の位置にあるようです) ◇TNFSF15 rs6478108 / 1.37倍 rs4574921 / 1.31倍 rs10114470 / 1.28倍 (草はみ注: 公式フルネームはtumor necrosis factor (ligand) superfamily, member 15。TNF(腫瘍壊死因子)サイトカイン・ファミリーの1つで、主に内皮細胞が分泌するとされていて、BやTリンパ球細胞は分泌しないとされています。TNFやIL1alphaによって誘導され、NFkBやMAPkを活性化したり、内皮細胞のアポトーシスを誘導したり、内皮細胞の増殖を阻害することで血管新生を阻害したりするとみられているようです。TNFSF15はクローン病の発症にも関わっているようである事が知られています。以前にこのブログの記事 『韓国CD患者の発症にTNFSF15遺伝子が関連か』 でとり上げました) ◇RIPK2 rs42490 / 0.76倍 rs40457 / 0.77倍 (草はみ注: 公式フルネームはreceptor-interacting serine-threonine kinase 2。RIPK2タンパク質は、NOD2タンパク質と同じく、転写因子NFkB活性化経路に関係していまして、炎症の促進に関係しているとみられているようです。) ◇HLA rs602875 / 0.67倍 (草はみ注: ヒトMHCクラス2遺伝子上の一塩基多型のようです。論文には「HLA-DR-DQ」と表記されていますので、HLA-DRとHLA-DQの間の領域にある一塩基多型かもしれませんが、詳細を調べきれませんでした。MHCは、人間の場合はHLAと呼ばれる事もあります。MHCはマクロファージや樹状細胞などの免疫関連細胞が持っていまして、これら細胞は外から入ってきた異物の破片をMHCタンパクに挟んで、免疫機構の司令塔であるTリンパ球細胞に、「こんなやつが侵入していました」と提示します。提示を受けたTリンパ球細胞は、この侵入者が危険なものか、そうでないものかを判断し、危険なものならば、しかるべき攻撃指令を出します。リスク倍率は0.67と、1より小さいようですので、この変異を持っている人はmycobacterium leprae菌の侵入を見逃さない能力が高いという事かも知れません) △△△△△△ ここまで内容が少し専門的 △△△△△△ △△△△△△ ここまで論文の概要 △△△△△△ 【そのほかの情報源】 ◆Deutsches Ärzteblatt: Nachrichten "Was Lepra-Gene über den Morbus Crohn aussagen" (ドイツ語) Donnerstag, 17. Dezember 2009 ◆ハンセン病の感受性遺伝子 中国の科学者が発見←中国通信社:文化・科学・スポーツ (日本語) ※ ご注意 ※ 潰瘍性大腸炎やクローン病の発症に遺伝子の変異が関わっているようだということが研究によって明らかになりつつあるようですが、しかしながら、両疾患とも遺伝子の変異の影響だけで発症する病気でないということがはっきりしています。両疾患とも、 ◇腸内細菌の影響 ◇近代になって身の周りにあふれるようになった様々な化学物質の影響 ◇食事内容の変化 ◇免疫機構の異常 ◇遺伝子の変異の影響 などの要因が全て複雑に絡み合って発症するものであり、遺伝子の変異の影響だけで発症するものではないと研究者達は現在のところ見解を示しています。 また、ハンセン病においても、遺伝子の型が発症に決定的に関わっているわけではないと研究者達は現在のところ見解を示しています。
by pascor
| 2010-01-19 22:54
| クローン病
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