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川崎病は、1967年に川崎博士が最初に報告した原因不明の小児疾患です。4歳以下の患者がほとんどで、症状としましては、 ◇急な高熱 ◇唇、舌、喉などの粘膜が赤く腫れる ◇両眼の結膜が充血する ◇皮膚に大小さまざまな発疹が出る ◇首のリンパ節が腫れる ◇患者の約1割において心臓の冠動脈に瘤(こぶ)を残す などだそうです。特に最後にあげた後遺症は、患者のその後の生活に影響するようです。 川崎病においては、 ◇自己免疫疾患的側面があると考えられている ◇死亡率はかなり低くて、1パーセント以下とされる ◇親子発症や兄弟姉妹発症が数パーセントみられるが、遺伝性や伝染性があるのかどうかがはっきりしない ◇発症に関連するのではないかという遺伝子ITPKCも最近の研究により指摘されたようだが、リスク倍率が低く、発症に決定的なものではないようである ◇何らかの細菌も発症に関わっているのではないかとかなり昔から言われて来たようだが、はっきりと関与が明らかになった特定菌種はまだないようである ◇感染症的側面がある事が疑われているが、小児と同じく免疫が弱いはずの老齢者においては発症がみられない などが言われているようです。このあたりの諸々の特徴が潰瘍性大腸炎やクローン病の特徴に似ている事が非常に興味深いです。 順天堂大学の研究チームが、病原体の侵入を受けやすい消化管に注目して研究を進め、患者の喉や腸にブドウ球菌などの低病原性細菌が一般の人の10から100倍も存在する事を発見し、更に詳しく調べてみたところ、 ◆ブドウ球菌などのグラム陽性菌が「スーパー抗原」と呼ばれる特殊な抗原を作り出して患者の免疫反応を強く刺激していた。 (草はみ注: 潰瘍性大腸炎においても、スーパー抗原が発症に関わっているのではないかという研究があります。) ◆桿菌などのグラム陰性菌からの刺激を受けて血管内皮細胞が「HSP60」(熱ショックたんぱく60)という特殊なタンパク質を作り出し、このHSP60を患者の免疫機構が攻撃してしまい、血管炎の原因となっていた。 (草はみ注: 潰瘍性大腸炎においても、HSP60が発症に関わっているのではないかという研究があります。) ◆現在知られている治療法では効果がみられなかった患者7人に、比較的どのような種類の細菌に対しても効果がある「ST合剤」という抗菌剤を投与してみたところ、6人で快復がみられた。 (草はみ注: ちなみにこのST合剤の主有効成分は「サルファ剤」に属する薬剤で、潰瘍性大腸炎やクローン病の治療に用いられるサラゾスルファピリジン(商品名:サラゾピリンなど)と同系統の薬剤です。サラゾスルファピリジンはもともと抗菌剤です。) という内容の論文を、このたび、免疫系の有名な医学専門誌に発表したそうです。 潰瘍性大腸炎に対するATM療法(フソバクテリウム・バリウム除菌療法)を開発した大草敏史氏が、以前、医療講演会で、自己免疫疾患ではないかと現在みられている難病のうちのひょっとすると半数近くにおいて、何らかの細菌やウイルスが分泌する何らかの物質が発症に関与しているのではないかと予測を述べられていましたが、川崎病においてはそうである可能性が高くなったようです。潰瘍性大腸炎やクローン病においても果たしてそうなのか、そうではないのか、早く解明されて欲しいと思います。 【情報源】 ◆川崎病 複数細菌原因か 抗菌薬で治療成功…順天堂大チーム 医療ニュース : yomiDr./ヨミドクター(2009年11月17日 読売新聞) ◆川崎病:細菌が関与…複数感染で 順天堂大チーム解明 - 毎日jp(毎日新聞 2009年11月17日 20時37分(最終更新 11月17日 21時39分)) ◆川崎病 新たに「複数犯」説/「容疑者」細菌11種類 「主犯」不明 医療ニュース : yomiDr./ヨミドクター(2009年12月13日 読売新聞) ◆Heat shock proteins and superantigenic properties of bacteria from the gastrointestinal tract of patients with Kawasaki disease. Satoru Nagata, Yuichiro Yamashiro, Yoshikazu Ohtsuka, Toshiaki Shimizu, Yumiko Sakurai, Shigeki Misawa, Teruyo Ito. Immunology, Volume 128 Issue 4, Pages 511 - 520 Published Online: 10 Jun 2009 <無料全文.html> (英語)
by pascor
| 2009-11-17 23:33
| 両疾患共通
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