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潰瘍性大腸炎患者の腸の中は健康者と比べて酸性が強いことを、New Yorkの研究チームがカプセル型の最新の精密計測機器を用いて明らかにし、世界最大の消化器病学会であるDDWで発表したそうです。 SmartPillは人間が飲み込む事が出来る大きさのプラスチック製カプセルに超小型の精密機器を封入した物で、消化管を下りながら消化管内の内圧、pH、温度を連続的に計測し、データを無線で体外に送信する事が出来るそうです。 潰瘍性大腸炎患者5人と健康者5人にこのSmartPillを飲んでもらって消化管内のpHを計測してみたところ、潰瘍性大腸炎患者のほうがpHが低い、つまり酸性が強い傾向がみられたそうです。 クローン病や潰瘍性大腸炎の薬剤治療において、特にメサラジン(5ASA)やニューステロイドなどの薬剤の場合には、腸管の目的とする場所で薬剤がうまく放出されるような剤型にしなければなりません。そこで、pH(アルカリ-酸性度)が或る値になると溶けるように工夫されたカプセルを採用した商品が海外で開発され、既に臨床で治療に用いられています。このSmartPillによって得られるデータを参考にする事によって、より高い効果を発揮するカプセル剤を開発する事が可能になって来ると思います。 また、潰瘍性大腸炎患者の腸内のpHが低い理由を究明する事によって、発症原因の解明につながる何かが発見されるかもしれません。 【情報源】 ◆研究を行なった施設のホームページ掲載の報道記事: Electronic Pill Shows Its Smarts by Measuring pH Levels in Digestive Tract. NewYork-Presbyterian/Weill Cornell Study Uses SmartPill Capsule in Ulcerative Colitis Patients, Finding Acidic Conditions in Their Colons. (英語) NEW YORK (June 3, 2009) ◆SmartPill社のホームページ (英語)
by pascor
| 2009-06-17 21:35
| 潰瘍性大腸炎
|
Comments(4)
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mstn
at 2010-07-13 16:45
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草はみ様、こんにちは。いつも貴重な情報を有難うございます。
さて、本記事「潰瘍性大腸炎の腸内は酸性が強い」について大変興味深いものでした。それは、ふと別の掲示板でのアサコールが全く溶けずに排出されたという人のコメントが思い出されたからです。 私は、この方が相当に激しい下痢状態にあるのではないかと思っていたのですが、特異性もあるのかもしれませんね。 ところで、「アサコール 使用上の注意の解説」(9.その他の注意 25ページあたり)には、全く逆の表が記載されています。つまり健常者の方がpHが低いのです。どうぞご一読ください。また、「インタビューフォーム」も大変役に立ちます。 http://www.kksmile.com/yakuzai/idx_asa.html
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草はみ
at 2010-07-14 22:35
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mstnさん
私の記事の最後に「腸内のpHが高い理由を」と書いていましたが、「腸内のpHが低い理由を」の間違いでした。すみません。 「アサコール 使用上の注意の解説」のp22にあるグラフの出どころである参考文献 Gastrointestinal pH profiles in patients with inflammatory bowel disease. Aliment Pharmacol Ther. 1998 Jul;12(7):673-8. は無料でネット上に公開されていました。 http://www3.interscience.wiley.com/cgi-bin/fulltext/119119714/HTMLSTART サッと目を通してみましたが、測定カプセルの測定誤差がプラスマイナス0.5pHあると書かれているようなのです。著者が英語ネイティブでないようで、少し意味が取りにくい部分があります。測定誤差について紙面を割いて考察すべきだと思うのですが、それについては軽く触れるだけで、詳細はほかの文献を読んでくださいというふうになっています。 pHの正確な測定というのは結構難しいです。測定電極を測定のたびに酸で洗浄するとかが必要だったりします。 この件に関しましては、おそらく更なる臨床試験が必要なのだと思います。
草はみ様、ご調査及びご回答有難うございます。なるほど理解できます。
直感的なのですが、私はこの大腸内のpH分布が初期UCの型などに関係しているような気がしています。病原菌の活動を左右していると思っているからです。 尚、アサコールについては、協和発酵キリンのくすり相談室に問い合わせてみました。 ------- Q.アサコールの高分子ポリマーは全てのUC患者で確実に溶解するのでしょうか? A.一般的にUCの患者様では大腸内pHが健康成人よりやや高い傾向が認められることが文献報告されておりますが、患者様の病態や個人による差も無いとはいえないため、全てのUCの患者様で「確実に」溶解するとは、残念ながら言いきることが出来ません。 患者様によってはフィルムコーティングが溶けず薬剤が十分放出されないケースも否定はできません(ただし同一患者様であっても毎回溶解せず薬剤が排泄されるとも限りません)。 その為本剤服用中に錠剤がもし繰り返し排出される、または治療効果を実感出来ないような場合にはその他薬剤・治療を考慮頂く必要もあるため、その際は医師とご相談頂きたいと思っております。 -------
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草はみ
at 2010-07-16 00:54
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mstnさん
わざわざ問い合わせてくださったのですね。アサコールがいつもそのままの形で出てきて、特に効果が実感できない人はペンタサにしてもらったほうがいいかも知れませんね。アサコールの素通りが日本人患者でどの程度起こるのか、これから情報が少しずつ集まってくると思います。 確かに、大腸のpH分布は、潰瘍性大腸炎の炎症がなぜ直腸から連続に上流へと分布を広げるのかという事に関わっている可能性があるかも知れません。
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