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ろう孔はクローン病に見られる症状で、主に、腸と臓器の間、または腸と皮膚の間にトンネルが開通してしまうというものです。QOLを大きく下げる症状の一つで、治療になかなか反応しないことが多いようです。 Humira(薬剤名:adalimumab)は炎症誘起物質であるTNF-alphaを中和する薬剤です。先行して開発された同じメカニズムの薬剤にRemicade(薬剤名:infliximab)がありますが、レミケードは薬剤分子の設計図の1/4がネズミのDNA情報によって作られていてアレルギー反応が比較的強く出る可能性がある薬剤なので、病院にて点滴で投与する必要があるのですが、ヒュミラは100パーセント人間の設計図によって作られたタンパク質ですので、強いアレルギー反応が出る頻度が少なく、自宅での皮下注射投与が可能であるようです。ヒュミラは日本ではまだクローン病と潰瘍性大腸炎に対しては認可されていませんが、クローン病に対して治験中で、現在第3相まで進んでいるようです。日本では関節リウマチに対して既に認可されています。 ヒュミラにもクローン病のろう孔を閉じる効果があり、更に、比較的高い確率で閉じたままに保つ効果が有ることが、クローン病と潰瘍性大腸炎のヨーロッパの学会組織であるECCOの年次会議で発表されたそうです。 ろう孔を持つクローン病患者854人にヒュミラを1年間投与したところ、約60パーセントの人にろう孔の閉鎖がみられたそうです。そして、投与開始から丸2年の時点で、そのうちの76パーセントの人において閉鎖の継続が見られたそうです。 「ろう孔はクローン病のつらい症状の1つで、手術が必要となることもあるのですが、治ゆをもたらす薬物治療が存在するということは重要な事です。」とフランスのHuriez病院消化器内科教授J.F.Colombel氏はコメントしているようです。 【情報源】 ブラジルの患者団体ABCDの会報第34号(2008年冬号)の記事: Humira tem bom resultado com fistulas. (ポルトガル語)
by pascor
| 2008-09-07 16:08
| クローン病
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Comments(10)
レミケードが副作用でダメだったうちにとっては、嬉しい話題でした。
思わず、ブログのネタにしちゃいました<(_ _)>
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草はみ
at 2008-10-17 00:19
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100パーセント人間型抗体製剤でもアレルギー反応がゼロでは無いのですが、頻度が少ないようです。
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MISHIMATAKAHIRO
at 2008-11-05 19:12
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数年前に、慶応の日比先生のインターネット上での報告に、数年で、CDの原因が判明すれば、根本治療の可能性があると書かれていました。 HUMIRAなども、いわゆる、対症療法になると思うのですが、根本治療の見通しは、どうなのでしょうか。
また、このHUMIRAは、どのようなCDのステージの患者にも使えるのでしょうか。 ろうこうがある患者に利くということは、ろうこうがある患者は、かなり狭窄があると考えるのが自然だ思うのですが、レミケードは、狭窄がある患者には使えないと言うことですので、その点、どうなのでしょうか。 ところで、全く観点の違うことですが、遺伝子の異常や免疫の異常が見られる病気には、体質を変えるような漢方や食品のようなもので、効果があると言われるような物は、全くないのでしょうか。 そういうアプローチをして科学的な検証をしている物はないのでしょうか。
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草はみ
at 2008-11-06 00:59
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MISHIMATAKAHIROさん
>根本治療の見通しは、どうなのでしょうか。 いつかその日が来るのだと思いますが、いつになるかは予言は無理です。ところで、原因の解明より前に根本的治療法が偶然に見付かるという可能性は有ると思います。 >HUMIRAは、どのようなCDのステージの患者にも使えるのでしょうか ヒュミラはレミケードと同じくTNF-alphaを中和する薬剤ですから、基本的にはレミケードとほぼ同じだと思います。軽症から重症まで効果があると思いますが、感染症などの重篤な副作用や発癌の可能性などがありますから、効果と副作用を天秤にかけると、軽症の場合はほかの治療法を使うということになると思います。一方で、レミケードに関して、軽症のうちから緩解維持として定期的に使用したほうが狭窄やろう孔の進行によるQOL(日常生活の良好度)の悪化が防げるのではないかという意見もあるようです。しかし、軽症患者がみな定期投与を始めてしまうと莫大な負担が国や自治体にかかってしまいますし、副作用の問題もありますので、そのあたりは難しいところです。 [下に続く↓]
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草はみ
at 2008-11-06 01:00
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>ろうこうがある患者は、かなり狭窄があると考えるのが自然だ思うのですが
そういう傾向があると思います。狭窄でせき止められた、または狭窄を通ろうとする腸の内容物が圧力のはけ口を求めて構造的に弱くなった炎症部にろう孔を形成するというメカニズムが存在する可能性があると思います。ただし、肛門の周囲に出来るろう孔は狭窄とは関係ないようにも思います。排便時の圧力が関係しているかも知れません。 >レミケードは、狭窄がある患者には使えないと言うことですので、その点、どうなのでしょうか。 炎症によって形成されつつある狭窄は、急激に炎症が改善してしまうとケロイド状になってしまい、組織の引きつれが起こってひどい狭窄が完成されてしまうということのようです。炎症によって形成されつつある狭窄がある人にはじんわりと効果を発揮する治療薬を用いたほうが良いということになるかも知れません。ということは、ヒュミラも急激に炎症を改善する可能性がある薬剤ですので、狭窄の急激な進行を警戒したほうがいいと思います。 [下に続く↓]
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草はみ
at 2008-11-06 01:01
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>遺伝子の異常や免疫の異常が見られる病気には、体質を変えるような漢方や食品のようなもので、効果があると言われるような物は、全くないのでしょうか。
どのような病気にも食品や漢方薬で体質を改善することで病状を緩和できる可能性があると思います。 >そういうアプローチをして科学的な検証をしている物はないのでしょうか。 1つとして、腸内善玉菌であるプロバイオティクスがあると思います。腸内細菌は体質や免疫に対して大きな影響力があるとされています。また、大建中湯は腸の血行をよくすることで腸の動きの停滞を改善するようです。いずれも、使用にあたっては医師との相談が必要だと思います。
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TAKAHIROMISHIMA
at 2008-11-06 10:17
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先生、いつも、迅速で的確な回答ありがとうございます。
ほんとうにありがたいです。 今後とも宜しくお願いいたします。
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草はみ
at 2008-11-06 23:11
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TAKAHIROMISHIMAさん
いや、その、私は医師ではありませんので、念のため。 (^^;) こちらこそ今後とも宜しくお願いいたします。
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jam
at 2008-12-25 23:42
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患者の皆さんは、基本的に白血球の内訳や腸内細菌の種類などの検査を受けられているのでしょうか。 定期的に検査をする場合、どのような種類の検査をされていますか。
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草はみ
at 2008-12-27 21:12
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jamさん
僕はリンパ球や好中球や好酸球や好塩基球といった白血球の内訳も調べてもらっています。便の中に病原性の細菌がいないかどうかは診断の時に必要なので1回はしてもらうことになりますが、以前とは違うパターンで再燃したような時は、念のため再度便の培養検査をしてもらったほうがいいかも知れません。必要なのは、年に1回の大腸内視鏡検査と、年に何回かの血液検査で肝臓や腎臓などの値に異常がないかをみることだと思います。
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