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また1つ、IBDの発症に関連がある遺伝子の変異が発見されたとの情報です。カナダとUSAの研究者からなるグループがPTPRSという遺伝子の変異が潰瘍性大腸炎発症に関連があるのではないかという論文をCurrent Biologyという雑誌に発表したそうです。 PTPRS(protein tyrosine phosphatase, receptor type, S)遺伝子はPTPsigma(タンパク質チロシン脱リン酸酵素シグマ)というタンパク質の設計図だそうです。この酵素はリンパ球の活性化、細胞の活動性、神経機構の発達に関わっているそうなのですが、まだ詳しくは調べられていないそうです。この研究チームは、「このタイプのタンパク質は細胞の成長の制御、哺乳類におけるdevelopment、癌にとって重要なものです」とコメントしているようです。 (草はみ注: “development”には「成長」と「発生」の2つの意味がありますが、どちらなのか文脈からは解読不能) PTPRS遺伝子に変異がある人が潰瘍性大腸炎患者に多かったそうです。 また、PTPsigma酵素を体内に作ることが出来ないマウスを遺伝子を操作して人工的に作成してみたところ、そのマウスは軽症の腸炎を発症したそうです また、正常なPTPsigma酵素はE-cadherinとbeta-catenin働きかけることを確認したそうです。この2つのタンパク質は大腸の防護バリアの維持において重要な役目をする細胞間接着分子だそうです。ゆえに、PTPsigma酵素に異常があると大腸の防護バリアを正常に維持できない可能性が出てくることになります。 今回の発見は、腸内細菌や化学物質に対する大腸壁の防御能の欠陥が潰瘍性大腸炎の発症に関わっているという仮説を裏付けるものかも知れません。潰瘍性大腸炎とPTPRS遺伝子の変異について更なる研究が望まれます。 ※ ご注意 ※ 潰瘍性大腸炎やクローン病の発症に遺伝子の変異が関わっているようだということが研究によって明らかになりつつあるようですが、しかしながら、両疾患とも遺伝子の変異の影響だけで発症する病気でないということがはっきりしています。 両疾患とも腸内細菌の影響や産業の発達の結果身の周りにあふれるようになった様々な化学物質の影響や食事内容の変化や免疫機構の異常や遺伝子の変異の影響などの要因が全て複雑に絡み合って発症するものであり、遺伝子の変異の影響だけで発症するものではないと研究者達は現在のところ見解を示しています。 情報源 ●連名著者のうちの1人が所属する病院のホームページの速報記事: Researchers find gene associated with ulcerative colitis. FOR IMMEDIATE RELEASE July 5, 2007 (英語) ●論文の要約: Protein-Tyrosine Phosphatase Sigma Is Associated with Ulcerative Colitis. Current Biology - Published online: July 5, 2007. (英語)
by pascor
| 2007-07-07 22:46
| 潰瘍性大腸炎
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Comments(4)
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コイ
at 2007-07-08 20:33
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こんばんは、草はみさん。
やはり個人的にはUCの主たる原因は遺伝子関連ではなく、細菌感染や食事の変化が大きな原因だと思いたいです。そうでないとなぜ先進国に患者が多いのか、あるいは必ずしも近親者にUC患者がいるとは限らない、といったことの説明ができません。私は親戚縁者に腸の病気はい1人もいません。
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草はみ
at 2007-07-09 21:44
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コイさん
そのとおりで、遺伝子の変異を持っていた人は大昔からいたはずのなのですが、患者が見られるようになったのは近代に入ってからです。
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VSL3
at 2007-07-13 01:53
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草はみさん、VSL#3というプロバイオティクスの製剤について詳しいこと知っていますか?
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草はみ
at 2007-07-13 22:20
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VSL3さん、こんばんは。
VSL#3についての日本語の情報が多少 http://vsl3.biotoday.com/ にあるようです。 この商品を日本で個人輸入代行している会社は複数あるようです。 VSL#3についての詳しい情報はホームページ http://www.vsl3.com/VSL3/ (英語) にあるようです。 室温以上の温度に一度でもさらされると菌が全て死んでしまうようです。手元に届いたVSL#3の菌がまだ生きているかどうかはおそらくシロウトでは確認できないと思いますので、輸入代行業者を信じるしかないかもしれません。 VSL#3はUSAにおいてもあまり安い商品ではないようです。30袋が$80(約1万円)のようです。潰瘍性大腸炎患者は緩解期には1日1~2袋、活動期には1日4~8袋を服用だそうです。8袋は、計算すると、約2600円です。1ヶ月約8万円になります。
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