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海外で流れていた新薬の開発状況に関する情報です。 以前、このブログに投稿しました記事 『難治性CDに対する自家骨髄移植』 で紹介しましたように、骨髄移植によって潰瘍性大腸炎やクローン病も含めた各種難病が治ゆする可能性が医学界で言われており、クローン病患者に患者本人から採取した造血幹細胞を再注入する自家骨髄移植によって長期緩解が得られたという報告も出されています。 また、同じく、以前、このブログに投稿しました記事 『新薬Prochymalの開発状況』 で紹介しましたように、既に製薬会社によって新しい治療薬としての開発が臨床で進められているようでして、Osiris社はクローン病患者に対する間葉系幹細胞の静脈内投与の治験を第3相にまで到達させているようです。 スペインの製薬会社Cellerixも骨髄移植による治療の開発を進めているようです。間葉系幹細胞自家移植のための製剤cx401の第2相治験の結果の速報を世界最大の消化器病学会であるDDW2007で発表したようです。患者本人の脂肪組織を吸引してそこから間葉系幹細胞を採取しクローン病のろう孔に注入することによって良い治療効果が得られたそうです。71%が治ゆしたそうです。治験はすでに第3相に入っているそうです。以下にこのcx401の概要を紹介したいと思います。 【開発コード】 cx401 【薬剤の系統】 患者本人脂肪組織由来間葉系幹細胞製剤 (間葉系幹細胞自家移植法) 【現在の開発者】 Cellerix社(スペイン) 【開発の段階】 EU: クローン病の肛門周囲ろう孔に対して第3相 【投与形態】 ろう孔への注入 【既に認可を得ている適応】 なし 【ほかに治験が実施されている疾患】 EU: クローン病以外の肛門周囲ろう孔に対して第2相 【詳細】 まず、臓器(骨髄細胞)移植に関する予備知識として、現在実施されている手法や研究により明らかになっている事実を整理しておきますと、 移植は、移植する臓器(骨髄細胞)を採取する動物の違いによって「同種移植」と「異種移植」に分類されます。「同種移植」は人間から採取して移植することを指します。「異種移植」は人間以外の動物から採取して移植することを指します。現在は実施されているかどうかは詳しく知りませんが、人間が大ヤケドをしたときに、応急処置としてまずブタの皮膚を移植し、その後に患者本人の皮膚を別の無傷の身体部位からか採取してきて移植しなおすという治療方法があるそうです。 また、同種移植は、移植する臓器(骨髄細胞)をどのような人間から採取するかによって「同系移植」と「異系移植」と「自家移植」に分類されます。「同系移植」は一卵性双生児のもう一人から採取して移植することを指します。つまり、この方法は一卵性双生児の一人として生まれて、かつ、もう一人が健康である場合しか実施できません。一卵性双生児はお互いに全く同じ遺伝子を持っていますから、拒絶反応が軽微であることが期待されます。ちなみに、「クローン(clone:複製)人間」の作成に成功してそのクローン人間から臓器(骨髄細胞)を採取できればこれも同系移植になりますが、この方法は倫理的に実施されることはないと思います。「異系移植」は他人から採取して移植することを指します。臓器移植の多くはこの異系移植ということになります。ちなみに、兄弟姉妹や親や子も移植学的には異系(他人)に分類されます。普通は、拒絶反応を少しでも軽くする目的で白血球の型が出来るだけ似ている人間を探してその人から採取します。臓器移植では、兄弟姉妹や親や子は白血球の型が似ている可能性が高い提供者となりえます。骨髄移植では、何万分の一とか何十万分の一という確率で偶然に白血球の型がかなり一致する赤の他人を骨髄提供者登録データベースから探して採取するということがされています。「自家移植」は患者本人から採取して本人に移植するという方法です。例えば、食道癌の治療として、癌におかされた食道を摘出して、本人の腸を採取してきてそこに移植し食道としての機能を果たさせるという手法があるようです。患者の同じ身体の一部ですから拒絶反応がかなり軽微であることが期待されます。また、cx401のように患者本人から採取した間葉系幹細胞を患者の患部に移植するというのも自家移植です。 「幹細胞」(stem cell)という名称に「幹」(stem)という字が使われている意味ですが、いろいろな機能の細胞に分化できるということで、この字が使われているようです。どのような機能の細胞に分化できるかを図に書いてみますと、樹状図のかたちになり、その幹の部分にちょうどこの幹細胞が来るからだと思います。幹細胞は「未分化細胞」と呼ばれることもあります。 (↓このページの図を参照) ●広島大学原爆放射線医科学研究所 幹細胞機能学研究分野 :造血幹細胞 http://home.hiroshima-u.ac.jp/dscb/fig/5.jpg 幹細胞は、いろいろな機能の細胞に分化できるうぶな細胞のことですが、体内にはいろいろな種類の幹細胞が存在することが判っています。現在のところ、造血幹細胞、間葉系幹細胞、神経幹細胞、膵幹細胞などの存在が確認されているそうです。いずれも各臓器が何らかの原因で傷ついたときの自己修復の際に活躍しているようです。腸上皮幹細胞も存在が予測されているようです。 ▽▽▽▽▽▽ ここから内容が少し専門的 ▽▽▽▽▽▽ ちなみに、更にそれら幹細胞は受精から間もない胚(はい)に存在する胚性幹細胞(ES細胞)(embryonic stem cell)から全て分化してきたものです。ゆえに、胚性幹細胞(ES細胞)に「原幹細胞」という別名をつけてもいいかも知れません。あらゆる細胞に分化させることが出来る万能細胞である可能性があります。この胚性幹細胞(ES細胞)を移植医療に利用しようという研究が盛んにおこなわれています。成人の体にももしこの胚性幹細胞(ES細胞)がそのままのうぶな形で存在し続けていることが発見され分離と増殖が可能となれば、移植医療や臓器再生医療は大きく発展することになると思われます。 △△△△△△ ここまで内容が少し専門的 △△△△△△ 「造血幹細胞」(ぞうけつかんさいぼう)(hematopoietic stem cell)は白血球や赤血球や血小板になったり出来る細胞で、骨髄移植において今まで使われてきました。そして、最近盛んに移植の研究がなされるようになってきた「間葉系幹細胞」(かんようけいかんさいぼう)(mesenchymal stem cell)は神経や血管や筋肉や骨や軟骨に分化できる細胞です。造血幹細胞も間葉系幹細胞も骨髄から採取することが出来ます。 それら幹細胞を採取する方法としては、今までは骨の中空部分であった骨髄に注射針を刺して吸い出す方法が主でしたが、最近は、増殖因子という物質を投与することによって血液中に遊離してきた幹細胞を選択的に集めるといった方法や、出産の際に得られるへその緒から幹細胞を採取するという方法が開発されるようになってきました。今回Cellerix社が採用した更に新しい採取方法は、皮下脂肪を吸引して得られた脂肪組織から幹細胞を選択採取するというもののようです。脂肪細胞に間葉系幹細胞が多数存在しているという事実にびっくりします。 Cellerix社の説明によれば、脂肪組織から採取するこの方法には、骨髄から採取する方法と比べて ◆幹細胞が脂肪組織には豊富に存在する(骨髄液の100~1000倍) ◆骨盤からの吸引より手技が簡単で身体に負担がかからない (草はみ注: 脂肪吸引は美容外科の分野で盛んにおこなわれています) といった利点があるそうです。 Cellerix社はクローン病の肛門周囲ろう孔に対する治療法として「自家移植」の手法を採用したようです。ちなみに以前に書きました記事『新薬Prochymalの開発状況』で紹介しましたProchymalでは間葉系幹細胞の「同種異系移植(他人からの移植)」の手法をクローン病に対する治療法として採用しています。 cx401の調製の方法についてですが、 患者に局所麻酔を施して、皮膚に切込み(5mm以下)を入れて、そこから細長いカニューレを挿入して脂肪組織を約80~100ml採取するそうです。これは美容外科でおこなわれている方法と同じようです。製薬会社にてその脂肪組織から間葉系細胞を取り出し、増殖させて数を増やし、ろう孔に注入しやすいような製剤にして、その患者を治療している医療施設に届けるそうです。 第1相治験では、4人の患者の8つのろう孔のうち6つ(75%)が治ゆしたそうです。残りの2つのろう孔も滲出物の量が減ったそうです。副作用はみられなかったそうです。ただし、本当に完全に治ゆしたかどうかをMRI画像診断で確認してはいないそうです。 第2相治験では、実薬群(cx401投与群)では24人のうち17人(71%)が治ゆしたが、偽薬群では25人のうち4人(16%)しか治ゆしなかったそうです。 ▽▽▽▽▽▽ ここから内容が少し専門的 ▽▽▽▽▽▽ この第2相治験は多施設・無作為割り当て・偽薬対照群設定の治験だったそうです。肛門の近辺に複雑なろう孔を持つクローン病患者14人とcryptoglandular disease患者35人が参加し、cx401(間葉系幹細胞2千万個)とフィブリン糊を混ぜたものを注入する群とフィブリン糊のみを偽薬として注入する群の2つにランダムに分け、注入してから8週後に診察をし、もし治ゆしていなければ更にcx401(間葉系幹細胞4千万個)とフィブリン糊を混ぜたものまたはフィブリン糊のみを注入し、また8週後に診察したそうです。ろう孔から滲出物が出なくなり、ろう孔の開口部が完全に表皮でもっておおわれた例を治ゆしたとしたそうです。本当に完全に治ゆしたかどうかをMRI画像診断で確認してはいないそうです。間葉系幹細胞の培養には約3ヵ月かかったそうです。ということは、市販されたときに値段はそんなに安くない可能性があります。しかし、この治療法によって得られた治ゆは長期間持続する可能性があるそうです。 △△△△△△ ここまで内容が少し専門的 △△△△△△ クローン病に合併するろう孔は治療を施してもなかなか改善しないことが知られていますので、約7割の治ゆ率というのは驚きです。しかも得られた治ゆが長い期間継続する可能性があるということで期待がもたれます。このcx401について更に情報を得ましたらまた報告させていただきます。 【情報源】 ◆学会で発表された内容の要約: Expanded Adipose-Derived Stem Cells (Cx401) for the Treatment of Complex Perianal Fistula. a Phase II Clinical Trial (英語) ◆Cellerix社のホームページのcx401についてのページ: Cx401: Complex Perianal Fistula: Description (英語) ◆Cx401の日本への導入の仲介を請け負っているEurojapan社のホームページのCx401に関する解説ページ: EuroJapan : Biotech & Life Sciences : セレリックス (日本語) ◆既に完了したCx401の第1相治験の結果を報告する論文: A phase I clinical trial of the treatment of Crohn's fistula by adipose mesenchymal stem cell transplantation. (英語) Garcia-Olmo D, Garcia-Arranz M, Herreros D, Pascual I, Peiro C, Rodriguez-Montes JA. Dis Colon Rectum. 2005 Jul;48(7):1416-23. [無料全文] ◆通信社Reutersが配信した記事: Stem Cells Improve Healing of Perianal Fistulas in Crohn's Patients (英語) ◆幹細胞移植について研究をおこなっている日本各地の大学や研究機関の研究室のホームページ
by pascor
| 2007-06-02 13:01
| 新薬開発状況
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Comments(2)
Commented
by
イタチ
at 2007-06-11 23:22
x
難しいことはわかりませんが、この治療法が確立すれば、大部分の潰瘍性大腸炎は完治する可能性があるということでしょうか?
Commented
by
草はみ
at 2007-06-12 00:21
x
イタチさん、こんばんは。
健康な人から造血幹細胞や間葉系幹細胞をもらって潰瘍性大腸炎やクローン病の患者の体内に注入することによって少なからぬ割合の患者が治ゆに到るのではないかと医学界では予測されているようです。ただ、この移植という治療法は副作用が起こって死亡するような例も少なからずあるようでして、現代の医学レベルではまだ安全ではない治療法です。ところで、患者自身から採った造血幹細胞や間葉系幹細胞を再び体内に注入する方法ならかなり死亡率は下がるようです。ただし、健康な人からもらうよりは治ゆ率が下がるようです。cx401につきましては、患者自身の細胞をクローン病のろう孔に注入するだけですので、副作用は更に頻度が低いと予測されます。
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