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クローン病の発症に関わっているのではないかと世界中の研究者が疑っている細菌、 Mycobacterium avium subspecies paratuberculosis (マイコバクテリウム・アヴィウム・亜種パラチュバキュローシス。略して「MAP菌」) は牛などの家畜にヨーネ病と呼ばれる人間のクローン病とそっくりの病気を起こすことが知られている菌です。反芻動物にだけではなく霊長類にも感染することが知られている菌です。人間に治療に長い期間を要する慢性病を引き起こす結核菌やハンセン氏病原菌と同じ仲間の菌です。よって人間のクローン病の発症原因の一つとして医学界では大昔から怪しまれているようですが、未だそれをきっちり証明するまでには至っていないようです。 (クローン病とMAP菌の関連については、私がこのブログに以前に書きました記事、 CD発症にMAP菌は関与しているのか 2005-10-19 ドイツのCD患者の52%からMAP菌検出 2005-10-19 サルディニアのCD患者の83%からMAP菌検出 2005-10-19 MAP菌が動物に起こすヨーネ病とは?その1 2005-11-25 MAP菌が動物に起こすヨーネ病とは?その2 2005-12-03 でも取り上げましたので、それらも参考にしてください。) MAP菌の関与について、現在の学会の意見をまとめた或る総論に幾つか興味深い内容が書かれていましたので、それらの概要を解説を加えながら皆さんに紹介したいと思います。 【概要を紹介する論文(総論)】 Integrating theories of the etiology of Crohn's Disease On the etiology of Crohn's Disease: Questioning the Hypotheses. William M. Chamberlin , Saleh A. Naser. Med Sci Monit, 2006; 12(2): RA27-33. [A page where you can get free full-text in PDF file] 著者の一人であるNaser氏は、以前に、有名医学論文雑誌『ランセット』で「クローン病患者の血液を培養したところ高率にMAP菌が検出された」という内容を発表した研究者です。 ▽▽▽▽▽▽ ここから論文の概要の一部の紹介 ▽▽▽▽▽▽ NOD2遺伝子の変異 ▽▽▽▽▽▽ ここから内容が少し専門的 ▽▽▽▽▽▽ 「NOD2タンパク」の設計図である「NOD2遺伝子」にエラーがある人がクローン病患者に多いことが明らかになっている。NOD2は細胞の内部に細菌が侵入したことを検知するためのタンパク質である。NOD2は細菌の細胞壁を構成する成分の1つである"muramyl dipeptide component of peptidoglycan"を検知する。NOD2は細菌の侵入を検知すると炎症反応を誘起してその菌の排除に働きかける。NOD2タンパクは免疫細胞や腸上皮細胞(=腸管の内壁を覆っている細胞)が体内に持っている。よって、NOD2タンパクの働きに不良があると細菌が免疫細胞や腸上皮細胞の内部で増殖してしまうという事態を許してしまう可能性がある。NOD2タンパクの働きに機能不良があるためにMAP菌が免疫細胞の一種であるマクロファージの体の中で増殖し、結果としてMAP菌感染炎症が発生するという現象がクローン病の正体であると主張する研究者達もいる。 △△△△△△ ここまで内容が少し専門的 △△△△△△ (草はみ注: わかりやくす人間社会に例えて説明しますと、変なたとえですが、警察署の署内の防犯装置(NOD2タンパク)に設計図のミス(遺伝子変異)があって防犯機能がうまく働かないために犯罪者(MAP菌)が署内(細胞内)へ侵入するのを許してしまい、署内をアジトとして犯罪者が増殖し、結果として世の中に犯罪(クローン病)が発生していると例えることが出来ると思います。 ところで、東アジア人(日本人、韓国人、中国人)にはこのNOD2遺伝子の変異は見られないそうです。つまり、NOD2遺伝子に変異がないのにクローン病を発症している人もたくさんいるということです。クローン病発症に関わっている遺伝子変異は1つだけではないようです。 また、NOD2遺伝子に変異があってもクローン病を発症しない人もたくさんいるようです。NOD2遺伝子に変異があっても、それを補う別の防犯機構、例えば「見回り」などがうまく働けばそのような事態を回避できる可能性があるのかもしれません。) MAP菌の免疫機構かく乱能力 MAP菌に近い菌種である「結核菌」は人間の免疫機構の働きをかく乱する能力をもっている。 ◆結核菌の菌体は厚い脂肪層でおおわれており、免疫機構の攻撃から身を守っている。また、この厚い脂肪層には毒性がある。 ◆結核菌は寄生先のマクロファージの消化機能の働きを阻害することによって細胞内で消化されてしまわないようにしている。 ◆サイトカインによる免疫細胞間の命令伝達ネットワークの働きを阻害することによって免疫機構をかく乱し、身を守っている。(草はみ注: 警察の電話や無線を混信させることに相当します) (草はみ注: そのほかにも、「増殖が遅い」ことも免疫機構の攻撃から身を守ることにつながっているとされています。) MAP菌もこれらのような能力を持っている可能性がある。 クローン病に免疫抑制性薬剤が有効であることの矛盾 クローン病のMAP菌関与説に懐疑的な研究者達は、 「クローン病がMAP菌による感染症なのならば、なぜ免疫抑制剤やステロイド剤や抗サイトカイン抗体製剤などの投与で症状が改善することがあるのか。それらを投与すると免疫力が落ちるのだからむしろ悪化するはずである。現に、MAP菌に近い種類の菌である結核菌はこれら薬剤の投与によって症状を起こすことがあることが広く知られている。」 という矛盾点を指摘しているようだが、これに対する反論として、 ◆MAP菌に近い菌種が起こす病気である結核やハンセン氏病の治療においては、炎症がひどい局面では、抗菌剤を投与しつつ炎症を押さえる目的でステロイド剤を投与することがあり、実際、投与によって一時的に炎症がおさまる。 ◆クローン病に対するステロイド剤や免疫抑制剤の投与はしょせん一時しのぎの治療法である。その後に再燃したときに以前より症状がひどくなることがある。クローン病に対するステロイド剤の投与は、長い目で見て、かえって経過を悪い方向へ向けると多くの臨床医が感じている。MAP菌は結核菌より増殖が遅い菌であるから、より長期的な視点から有効性を判定しなければならない。 という事実があげられる。 インフリキシマブに細胞寄生細菌を殺す働きがある可能性 抗TNF-alpha抗体製剤であるインフリキシマブ(商品名:レミケード)に間接的な殺菌作用がある可能性が言われている。つまり、インフリキシマブに間接的にMAP菌を殺す効果がある可能性があり、そのことがクローン病に対する薬効の発揮につながっている可能性である。 ▽▽▽▽▽▽ ここから内容が少し専門的 ▽▽▽▽▽▽ 活性化した免疫細胞の表面にはTNF-alpha分子が生えていることがあるのだが、そのTNF-alphaに抗TNF-alpha抗体が結合し、その結果としてその免疫細胞はアポトーシス死を起こし、さらにその結果としてその免疫細胞内に寄生しているMAP菌も一緒に死ぬのではないかという仮説である。 MAP菌は細胞内に寄生しないと生きていけないが、結核菌は寄生しないでも生きていくことが出来る。この事実は、インフリキシマブの投与によってクローン病の症状が改善するが副作用として結核の発症が起こりうることの説明ともなりうる。 △△△△△△ ここまで内容が少し専門的 △△△△△△ 免疫強化剤がクローン病を改善する可能性があるという事実 白血球の仲間である好中球(こうちゅうきゅう)やマクロファージの増殖を促し、かつ、それらの働きを強化する物質である「顆粒球・マクロファージコロニー増殖因子(GM-CSF)」をクローン病患者に投与してみたところ、実薬群の約半数に症状の改善が見られ、そのうち約4割が緩解に到ったという治験結果の報告がある。 この事実から、GM-CSFの投与によってマクロファージの持つ殺菌能が強化され、マクロファージ内に寄生しているMAP菌が殺されてしまうためにクローン病の症状が改善するという仮説を立てることも出来る。 MAP菌は寄生先のマクロファージがGM-CSFを分泌しようとするのを阻害すると報告されているという事実もある。 (草はみ注: 以前に私がこのブログに書きました記事『新薬sargramostim(Leukine)の開発状況』でこのGM-CSFを用いた治療戦略について書きましたので、参考になさってください。) 「ハエ叩きがないために拳銃でやむを得ず対処」仮説 免疫機能の一部が何らかの理由(遺伝的な変異や免疫かく乱細菌の存在など)によってうまく働かないために腸壁内に細菌の侵入を許してしまい、仕方なくその細菌に対して本来あまり効果的でない攻撃方法、たとえばキラーT細胞の細胞傷害機能などでもって免疫機構が対処せざるを得ないためにクローン病の症状が現われてくるという仮説を立てることが出来る。 (草はみ注: たとえますと、「部屋の中にハエ(MAP菌)が入ってきたので駆除しようとハエ叩きを手にしたが、柄が折れていて使い物にならなかった。ほかの武器を探したが、適当なものがなかったために仕方なく拳銃を何発も撃って殺そうとしたが、その流れ弾にあたって多くの罪のない人(消化管組織)が傷ついた」ということだと思います。) △△△△△△ ここまで論文の一部の概要の紹介 △△△△△△ (草はみコメント: MAP菌は除菌にかなりの困難が伴うようです。少なくとも2つの抗菌剤を短くとも半年以上は飲み続けないと効果が期待できないようだということです。潰瘍性大腸炎の発症の主要原因であるかもしれないとされているフソバクテリウム・バリウム菌は3剤をたった2週間服用するだけである程度の除菌成績を出せていることと対照的です。ATM療法開発者の大草先生も「こっち(MAP菌)の除菌はたいへんだろうな」とチラッと言葉をもらしておられました。しかし、MAP菌は細胞の中に寄生して増殖するという特徴があるようですから、その細胞から外に出られなくする戦略の薬剤を開発することなどによって有効な駆除方法が出てくるかもしれません。MAP菌がクローン病の発症に関わっていることが証明されるには、「MAP菌に感染しているクローン病患者に除菌を試みたところ除菌が成功した患者のほとんどが緩解した。その後再燃した患者も出たが、その再燃はほとんどMAP菌への再感染によるものだった」という結果が治験によって得られることが必要だと思います。まずは有効な除菌方法を確立することだと思います。実は、オーストラリアでクローン病に対するMAP菌除菌療法の治験がおこなわれており、ちかぢかUSAでも治験が始まるようです。長い期間が必要な治験のようですが、経過を見守りたいと思います。)
by pascor
| 2007-05-12 22:32
| クローン病
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Comments(4)
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たろ
at 2007-05-15 21:05
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草はみさん
いつも拝見させていただき、大変お世話になっております。 プロフィールで、「ATM療法を実施してからは体調は良好」と書かれておられますが、どちらの病院で実施されたのか、差し支えなければ教えていただけないでしょうか? 私も大阪府在住で、近いうちに、現在受診している阪大でATM療法を実施する予定です。
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草はみ
at 2007-05-16 22:58
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たろさん、こんばんは。
主治医にATM療法をやってみることの了承をもらって、名古屋のある総合病院でATM3剤を処方してもらって、実施しました。自宅で服用しました。具体的な病院名と医師名は、私に電子メールで連絡を下されば返信します。 大阪大学でもATM療法を実施しているのでしょうか?
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たろ
at 2007-05-17 23:41
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草はみさん、こんばんは。
お返事、ありがとうございました(^o^) ・・・名古屋ですか(-_-;) 阪大にしておきます(*_*) 主治医に「ATM療法を試してみたいのですが」と相談したら、抗生剤を出してくれました(^_^;) 私以外にも何人か試した方がおられるようです。
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草はみ
at 2007-05-24 00:20
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たろさん、こんばんは。
阪大病院がATM療法をたのめば実施してくれるようになったというのは大阪の患者にとってうれしいことですね。 (^^) よろしければATM療法の経過をまたお知らせください。
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