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ED治療薬であるバイアグラがCDの治療に有効である可能性を述べている論文が有名な医学論文雑誌『ランセット』に掲載されています。 (注:この記事の投稿日は決して4月1日(エイプリルフール)ではありません。念のため。) ※ご注意※ クローン病患者にバイアグラを投与する治療法はまだまだ研究のごく初期の段階ですので、専門の医師の支持なしに決してこの治療法を個人で独自に試みたりはなさらないでください。草はみは全く責任を持てません。 論文の概要 ◆Defective acute inflammation in Crohn's disease: a clinical investigation.Marks DJ, Harbord MW, MacAllister R, Rahman FZ, Young J, Al-Lazikani B, Lees W, Novelli M, Bloom S, Segal AW. Lancet 2006 Feb 25;367(9511):668-78. [abstract is available] 表題訳:『クローン病における急性炎症反応の欠陥:或る臨床的研究』 強くなりすぎた免疫反応が自分自身を攻撃してしまっているためにクローン病は発症しているのではないかという従来の定説とは逆に、クローン病患者は免疫機構に或る構造的弱さを持っているゆえに腸内細菌に腸壁粘膜のバリアーを突破されて慢性的炎症が起こってしまって発症しているのではないかという説をロンドンのUniversity CollegeのMarksらの研究グループが有名な医学論文雑誌"The Lancet"の2006年2月25日号に発表したようです。 クローン病患者は大腸や小腸の粘膜においてだけでなく皮膚においても炎症部の血流量が少なく、また炎症部への白血球の集合が悪いことが観察されたようで、免疫力の構造的弱さは全身的なものである可能性があると著者らは書いています。 そこで、炎症部の血流を改善するために血管を広げる薬剤であるシルデナフィル(商品名バイアグラ)をクローン病患者に投与してみたところ、著しい血流量の改善が観察されたそうです。ただし、シルデナフィルの投与でクローン病が改善するのかどうかの研究はこれからのようです。 免疫力が強いからではなくて弱いためにクローン病が発症しているのではないかという説は他の研究者も主張しており、例えば、このブログの「新薬sargramostim(Leukine)の開発状況」で書きましたように、免疫細胞である好中球やマクロファージを刺激し活性化する物質であるGM-CSFをクローン病患者に投与することによってクローン病が改善する可能性が言われており、現在治療薬としての認可を目指して海外で治験が行われているそうです。 論文全体の要約 ▽▽▽▽▽▽ ここから内容がちょっと専門的 ▽▽▽▽▽▽ 【序】 クローン病患者はNOD2(CARD15)と呼ばれる遺伝子に変異をもつ割合が高いという事実と、この遺伝子は細菌の細胞壁のMDP(Muramyl Dipeptide)を検知するためのセンサーたんぱく質の設計図であることから、近年、クローン病患者の免疫機構には腸内細菌に対する何らかの機能的欠陥が有るのではないかということが言われている。 クローン病患者では急性の炎症反応がうまく起こらないために腸内細菌などに粘膜バリアーを突破され、粘膜組織内に蓄積したこれら侵入物体が肉芽腫性病変を引き起こし、それらが二次的な慢性的炎症を引き起こしているのではないかという仮説がある。 (草はみコメント:この仮説は、この論文の参考文献一覧によると、1976年には言われていたようです。) (草はみ脚注:肉芽腫性病変=クローン病患者の炎症粘膜組織を顕微鏡で観察したときにみられる所見。何らかの有害な侵入物体を免疫細胞であるマクロファージやリンパ球が団子状になって取り囲んで懸命に処理しようとしている状態。ちょうど、巣をスズメバチに攻撃されたニホンミツバチがスズメバチに対して大勢で団子状に食らい付くことによって蒸し殺そうとしている様子にそっくり。) 【方法】と【結果】 ◆治験参加者は、免疫抑制剤を使用しておらず、活動期のろう孔を持っておらず、緩解期である患者だった。対照群は健康者と潰瘍性大腸炎患者と慢性関節リウマチ患者だった。 ◆治験参加者の血液を採取してNOD2(CARD15)の遺伝子のタイプを同定した。 ◆治験参加者の腸から生検を採り、6時間後にもう一度全く同じ場所から生検を採った。生検は染色して好中球とIL8産生細胞の数を数えた。 結果→腸粘膜に人工的に作った傷口に対する免疫反応(好中球とIL8産生細胞の数の増加)は、クローン病患者では健康者や潰瘍性大腸炎患者と比べて劣っていた。 ◆治験参加者の前腕の手のひら側の皮膚を紙やすりで引っ掻いて人工的にすり傷を作って免疫機構がどの程度その傷に反応するかを調べてみた。細菌の細胞壁のMDP(Muramyl Dipeptide)や人工IL8をその傷口に作用させて反応を観察した。傷口のしん出液中のIL8、IL1beta、アルブミン、ヒスタミン、C3a-desArg、プロスタグランジンE2、ルーコトリエンB4の濃度としん出液中の好中球の量を測定した。 結果→人工的に作った擦り傷に対する免疫反応はクローン病患者では健康者や潰瘍性大腸炎患者や慢性関節リウマチの患者と比較して劣っていた。炎症部の血流の不良は消化管だけでなく全身的なものであるという可能性がある。傷口にMDPを作用させてみたところ、NOD2遺伝子がm/m変異型であるクローン病患者以外は全員免疫反応が増加した。傷口にIL8を作用させてみたところ、クローン病患者の傷口への好中球の動員は正常となった。 考察→IL8は強力な好中球誘引化学物質だが、この産生の減少が免疫細胞動員の不良につながっているのではないか。また、NOD2遺伝子がm/m変異型であるクローン病患者はMDPに対する反応が鈍いことを確かめることができた。人工IL8を作用させてみると好中球は正常に動員されたので、好中球には機能的な欠陥はないのではないか。 ◆患者の血液からマクロファージを抽出してMDPの存在する培養液と存在しない培養液でそれぞれ培養し、各種サイトカインRNA発現量を測定した。 結果→NOD2遺伝子がw/w野生型であるクローン病患者と健康者ではMDPの刺激によってマクロファージによる炎症性サイトカインの産生が増加したが、m/m変異型であるクローン病患者では増加はほとんど見られなかった。 ◆更に別にマクロファージを培養して、傷口しん出液、C5a、TNFalpha、細菌のリポポリサッカライドを反応させ、分泌したIL8の濃度を測定した。 結果→傷口しん出液、C5a、TNFalphaによって刺激を受けたマクロファージによるIL8の分泌は健康者や潰瘍性大腸炎の患者と比べてクローン病患者では弱かった。ただし、リポポリサッカライドによる刺激では正常だった。 考察→クローン病患者のマクロファージは健康者や潰瘍性大腸炎患者と比べて炎症誘起性作動物質の刺激によってIL8を分泌する量が少ない。IL8は好中球に対する強力な化学誘引物質なので、マクロファージのIL8の分泌不良が好中球の動員の鈍さにつながっているのではないか。 ◆大腸菌を培養して熱処理して完全に死滅させて細胞壁のMDPの溶液を作成して治験参加者の前腕に皮下接種して免疫反応を観察した。 接種前と接種後に血液を採取して、血球数をカウントし、CRP、血清アミロイドA、各種サイトカインの濃度を計測した。 接種部の血流量をレーザードップラー法にて計測した。参加者の一部にsildenafil(Viagra)を投与し、血流量の変化を計測した。 健康者にノルエピネフリン(ノルアドレナリン)、次にL-NMMAを動脈注入して血流量の変化を計測した。 結果→MDPを接種した場所に炎症が起こったが、炎症部の血流を計測した結果、クローン病患者では血流量が少なかった。 潰瘍性大腸炎患者の接種部の炎症は比較的盛んで、健康者やクローン病患者と比べてなかなかひかなかった。 一酸化窒素(NO)による血管の拡張作用については、一酸化窒素合成酵素の阻害剤であるL-NMMAを投与したところ、血流が約半分になった。ノルエピネフリンを投与したところほとんど変化はなかった。 sildenafil(Viagra)を投与したところ、クローン病患者の炎症部の血流は著しく増加した。 接種後の各種炎症性メディエーターの血清中濃度を計測してみたところ、大腸型クローン病の患者においては、血流量はあまり増加しなかったのにもかかわらずIL6とCRPと末梢血中の好中球の数値は最も高かった。 考察→免疫機構のある一部に脆弱性が有るためにクローン病では全身的な慢性炎症状態になってしまっているのかもしれない。 【考察】 免疫反応が比較的弱い人がクローン病になるのではないか。そして身体中で細菌に一番多く触れる回腸の終端や大腸で病変が起こり易いのではないか。 重症好中球不全症の患者の少なくとも20%は肉芽腫性大腸炎を発症しており、クローン病と区別がつかないという事実がある。 クローン病患者では侵入してきた細菌に対する好中球の動員が弱いので、細菌を排除できず、マクロファージが細菌を取り囲んで肉芽腫を作るので発症するのではないか。ちなみに好中球の殺菌能力はマクロファージより強い。 NOD2遺伝子の変異は小腸病変に関わっているのかもしれない。大腸病変にはToll-like receptor4やCD14が関わっている可能性がある。 急性炎症反応の不全によりクローン病は発症しているという仮説はクローン病の衛生的環境原因説とも矛盾しない。 (草はみ脚注:クローン病の衛生的環境原因説とは、先進国では生活環境が過度に衛生的になってしまったために成長期に免疫機構が十分に鍛えられていない場合があり、様々な感染症にかかり易くなっているためにクローン病発症者が増えているという仮説です。) 喫煙や心的ストレスは両者とも粘膜の血流を抑制してしまい好中球の組織への移動を妨げるのでクローン病の発症要因となっているのではないか。また、喫煙は免疫抑制要因であり粘膜におけるIL8の濃度を低下させるとの論文もある。 現在のクローン病の治療法は主に免疫抑制的な方法であるが、これは二次的慢性炎症反応を抑制するが、今回指摘した根底にある免疫力不全に拍車をかけているのかもしれない。 患部にIL8や炎症誘起性刺激物を作用させるという治療法も考えられる。 体内残留時間の長いフォスフォジエステラーゼ5阻害剤やその他の血管拡張剤の投与によってクローン病の改善が可能かもしれない。 △△△△△△ ここまで内容がちょっと専門的 △△△△△△ その他の参考情報 ※以下の参考情報の中にはどうやら必ずしも情報収集が正確でないものもあるようですのでご注意ください。 ◆United Press International - Consumer Health - Crohn's disease 'enigma' close to solved? ◆Viagra could treat Crohn's disease | the Daily Mail ◆Crohn's Disease Etiology Questioned - CME Teaching Brief - MedPage Today ◆BBC NEWS | Health | Fresh theory on cause of Crohn's ◆EducationGuardian.co.uk | Research | Bowel disease researchers find Viagra could be a remedy ◆Blunted Immune Response May Cause Crohn's Disease
by pascor
| 2006-04-07 12:47
| クローン病
|
Comments(2)
Commented
by
tatikoma
at 2006-04-24 17:22
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はじめまして。自分も潰瘍性大腸炎を持ったものです。興味深く読ませていただきました。自分はアメリカのテキサス州に留学をしていて、病気もこちらで発症したんですが、日本で入院、療養を経て無事復学することができました。今日でちょうどステロイド剤の投与をやめて1年になります。そんな日にこのサイトを見つけられたことは何か運命めいたものを感じてしまいます(笑)今日から頻繁にサイトチェックさせていただきます。これからもがんばってください。
Commented
by
草はみ
at 2006-04-25 23:48
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tatikomaさん、ようこそ。
遠くテキサスからありがとうございます。外国で発症したなんて、心細かったでしょうね。2年間ステロイド剤を使わずにいられれば積算量の数字をゼロにリセットしてもいいのではないかという医師もいますので、あと1年、まあ、そうですね、気楽にいきましょう(笑)。注意するところは注意しながら全体の方向としては気楽に行くというのがいいような気がします。tatikomaさんがこのブログをチェックされるたびに新しい記事がアップされているように、何とかがんばってみますので、よろしくお願いします。
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