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フランスのIBD患者団体であるafaが、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎とクローン病)患者向けに、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する最新情報をホームページに掲載していましたので、その概要を皆さんに紹介したいと思います。 afa(L’association François-Aupetit)は炎症性腸疾患(クローン病と潰瘍性大腸炎)患者のための非営利団体(NPO)で、創設は1982年、年間予算は2015年時点で1億9千万円、地方支部は22か所、専従職員は12人、会員数は2017年時点で8千人だそうです。 フランスの患者団体afaのホームページに掲載されている記事: Dernières connaissances sur MICI et COVID-19 (フランス語) Article publié le 03/04/2020 『炎症性腸疾患と新型コロナウイルス感染症に関する最新情報』 2020年4月3日 ※ご注意※ 日本のではなく、フランスの患者団体がフランスの患者向けに出した記事ですので、 以下の内容は参考とするに留めてください。 疫病に対する防御の国家的方策、IBD治療の標準などが日本とは多少異なります。日本における新型コロナウイルス感染症への対処法に関しましては、主治医に意見をきいてください。 ▽▽▽▽▽▽ ここから記事の概要 ▽▽▽▽▽▽ 免疫抑制系の治療薬を使う可能性がある炎症性腸疾患(クローン病と潰瘍性大腸炎)の患者の皆さんは、新型コロナウイルス(SARS-CoCV-2)が引き起こす新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の事が特に心配だと思います。 ニューヨークのマウント・サイナイ病院の専門臨床医師達が、論文から得られる最新の立証に基づいて、初めて、明快な手引きを、炎症性腸疾患を診る医師達に対して提供しました。免疫抑制系の治療を受けている炎症性腸疾患の患者達には、治療を続けるように彼らは勧めています。 ◆「炎症性腸疾患の「再燃」リスクは、コロナウイルスに感染するリスクよりはるかに高い」 上記見出しは、ニューヨークのマウント・サイナイ・アイカーン医科大学の研究者達が書いたもの(の引用)です。彼らはまた、全ての人が予防と公衆衛生の方策をとるように念を押しています。 しかしながら、炎症性腸疾患の患者が新型コロナウイルス感染症にかかるリスクに関しましては、「毎日のように新しい情報が出現し、急速に移り変わる領域です」と、第一著者で、医学(準)教授のライアン・ウンガロ医師は明言しています。 ◆新型コロナウイルス感染症の胃腸症状 新型コロナウイルス感染症の患者は、吐き気や下痢などの、胃腸に関係する症状を訴える事があるようです。 腸の細胞である腸管上皮細胞(ちょうかんじょうひさいぼう)から新型コロナウイルスがたくさん見付かったようです。最新の複数のデータによりますと、新型コロナウイルス感染症の患者が下痢を起こす率には、研究論文によって2から33パーセントの幅があるようです。 (草はみ注:「fortement exprimé 」を「たくさん見付かった」と、分かり易い表現に訳しましたが、より医学専門風に訳しますと、「強く発現している」となります。 ◆新型コロナウイルス感染症の患者の便から新型コロナウイルスが検出された 新型コロナウイルスが主に小さな水滴および呼吸器からの分泌物を通じて広がるという事ならば、消化管も感染経路となる可能性があるかも知れないという事になります。 ゆえに、内視カメラ検査の際には、個々の装備が重要であるという事になります。 さらに、新型コロナウイルス感染症の患者への検査で、肝機能の異常が結果として幾つか明らかになっています。消化器科の医師は、新型コロナウイルス感染症の患者に消化器症状が現れる可能性に気を付けなければなりません。 ◆多くの炎症性腸疾患の患者が生物学的製剤による治療を受けています。消化器科の医師はこれら患者に何を話しておかなければならないですか? (コロナウイルス感染症患者の)大部分(80パーセント以上)が軽症であり、コロナウイルス感染症に関連する致死率は以前のコロナウイルスの急激な流行の際のものよりも小さいという事を再確認して、患者を安心させる事が重要です。 (草はみ注:「以前のコロナウイルスの急激な流行」とは、2002年から翌年にかけてのSARS、2012年に流行が始まったMARSの事を指していると思います。) 免疫抑制剤による治療を受けている人々を特に対象とした推奨は今のところ存在しません。 以前の炎症性腸疾患の研究者達が、免疫抑制剤(アザチオプリンや6-メルカプトプリンなど)による治療を受けている炎症性腸疾患の患者は、生物学的製剤による治療を受けている炎症性腸疾患の患者よりもウイルス感染症にかかる可能性が高いのではと意見を出していましたが、新型コロナウイルス感染症に対してもこの結果を当てはめる事が可能かどうかは分かりません。 従いまして、新型コロナウイルス感染症にかかるリスクよりも、炎症性腸疾患が再燃するリスクのほうが患者にとって負担になりますので、炎症性腸疾患の患者に治療を中断しなさいと助言する指針は現在のところ存在しません。 (草はみ注:現在日本では、アザチオプリンや6-メルカプトプリンは、イムラン、アザニン、ロイケリンなどの商標名で流通しています。現在日本で使われている生物学的製剤には、インフリキシマブ(商標名:レミケード)、アダリムマブ(ヒュミラ)、ゴリムマブ(シンポニー)、ウステキヌマブ(ステラーラ)などがあります。) ◆覚えておくべき事項 ◇(一般的に)ある病気がより重い症状になるリスク要因としては、高齢である事、心臓血管系疾患(循環器病)や肺疾患などの慢性疾患を基礎として持っている事があります。炎症性腸疾患に関しましては、今の段階では、特にリスク要因であるとは言われていません。 ◇新型コロナウイルス感染症において観察される可能性がある消化器症状は、吐き気、嘔吐、下痢、肝機能の異常などです。 ◇新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者の便から新型コロナウイルス(SARS-CoCV-2)が発見されていますが、便から口を経由しての感染経路が存在するのかどうかは、今のところ仮説の段階で、これから研究を進めて、存在するのか存在しないのかを明らかにしなければなりません。 ◇免疫を抑制する治療を受けている事が新型コロナウイルス感染症へのかかり易さ、または新型コロナウイルス感染症の病状経過に影響している事を示す研究結果は、今のところ存在しません。 ◇免疫抑制剤による治療を受けている患者においては、(新型コロナウイルス感染に対する)予防の目的で治療をやめるべきではありません。 ◆情報源 ◇COVID-19, MICI et immunomodulateurs : Quelques indications [Internet]. (フランス語) santé log. 2020 [cité 26 mars 2020]. Disponible sur: https://www.santelog.com/actualites/covid-19-mici-et-immunomodulateurs-quelques-indications ◇Article original : https://www.cghjournal.org/article/S1542-3565(20)30330-X/pdf (英語) △△△△△△ ここまで記事の概要 △△△△△△
by pascor
| 2020-04-22 00:08
| 両疾患共通
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