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慶応大学の研究チームが中心となって、日本全国30か所以上の病院施設で、潰瘍性大腸炎に対する青黛服用の治験が始まった事を、以前にこのブログの記事、『慶応大医で潰瘍性大腸炎に対する青黛の対照治験』(ymd:2016-03-17)で皆さんにお知らせしましたが、その結果をまとめた論文が医学論文雑誌『Gastroenterology』(ガストロエンテロロジー)に掲載された事が日本のメディアで報道されました。 ◆潰瘍性大腸炎に生薬の有効性実証 ホウドウキョク Nov 25, 2017 (動画あり) ◆慶大、藍色の染料が潰瘍性大腸炎の治療に有効であることを実証 日本経済新聞 2017/11/28 17:45 該当する論文はこれです。 ◆Efficacy of Indigo naturalis in a Multicenter Randomized Controlled Trial of Patients with Ulcerative Colitis. Naganuma M, Sugimoto S, Mitsuyama K, Kobayashi T, Yoshimura N, Ohi H, Tanaka S, Andoh A, Ohmiya N, Saigusa K, Yamamoto T, Morohoshi Y, Ichikawa H, Matsuoka K, Hisamatsu T, Watanabe K, Mizuno S, Suda W, Hattori M, Fukuda S, Hirayama A, Abe T, Watanabe M, Hibi T, Suzuki Y, Kanai T; INDIGO Study Group. Gastroenterology. 2017 Nov 22. pii: S0016-5085(17)36382-5. doi: 10.1053/j.gastro.2017.11.024. [Epub ahead of print] <論文要約 at Pub-Med> (英語) 論文の本文を残念ながらまだ手に入れておりませんので、論文要約(Abstract)しか読んでいません。 論文要約よりも少し詳しい内容が書かれた報道資料が慶応大学の広報から出されています。 ◆藍色の染料が潰瘍性大腸炎の治療に有効であることを実証-今後の安全性検証と新規治療法の開発に期待- 慶應義塾大学医学部 プレスリリース 2017/11/28 <全文.pdf> 症状が活動期にある潰瘍性大腸炎患者86人を、1日0グラム(偽薬)、1日0.5グラム、1日1.0グラム、1日2.0グラム服用する4グループにサイコロなどでランダムに振り分けたようです。青黛は医療用カプセルに詰めて投与したようです。服用期間は8週間だったようです。 【図1】のグラフを見てみますと、プラセボ群、つまり青黛が入っていないカプセルを飲んだ患者のグループの有効率、寛解率、粘膜治癒率がいずれも低いレベルであった事がわかります。有効、寛解、治癒の判定基準をかなり厳しく、つまり、かなりハードルを上げた設定で治験が行われた事が分かります。5ASA系製剤や各種免疫抑制剤などの従来の治療をやめる事なく並行して行ったのにも関わらず、この低い数字です。 ハードルが高いにもかかわらず、青黛に7から8割の有効率が観察されたというのはすごい事だと思います。 棒グラフからは、1日に1グラムくらいの服用量が最適かも知れない可能性が読み取れるようにも思いますが、何回か更なる治験を重ねてから判断したほうがいいかも知れません。 有害事象、つまり副作用につきましては、重いものは観察されなかったようです。軽度な副作用として、一時的な肝機能障害、頭痛、胃痛・腹痛、吐き気などがみられたそうです。頭痛、胃痛・腹痛、吐き気につきましては、東洋医学で言う「胃寒痛」(いかんつう)が発生原因である副作用かも知れません。軽度な肝機能障害、つまり血液検査のうちの肝臓の機能に関する項目の数字の多少の上昇は一時的なものだったようです。青黛を自己責任で服用してみた患者の皆さんからの電子メールやブログの記述などを読みましても、一時的だった人がそこそこの割合を占めるようです。青黛の作用メカニズムの謎の一つです。 この治験は120名の患者を参加登録して行う予定でしたが、この治験の開始後に、この治験への参加者以外の潰瘍性大腸炎患者において、青黛が原因である可能性がある肺動脈肺高血圧症の発症の報告があったことが厚生労働省から「注意喚起」として発表され、念のため安全を最優先とし、86人を登録した時点で新たな登録を中止したそうです。青黛が原因である可能性がある肺動脈肺高血圧症について詳しくは、このブログの過去の記事、『青黛と東洋医学的「お血」と肺動脈性肺高血圧症』(ymd:2017-02-28)をお読みになって下さい。予定の3分の2しか参加しなかったにも関わらず、統計学的計算ではっきりした効果が医学的に証明されたようです。
by pascor
| 2017-12-05 21:35
| 潰瘍性大腸炎
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