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炎症性腸疾患(IBD)、その中でも特にクローン病の発症メカニズムの解明に役立つ可能性があるのではないかと思われる研究内容を見付けました。 サルコイドーシスは、日本では難病、つまり公費対象の特定疾患に指定されている疾患です。様々な臓器に病変がみられるのが特徴で、肺、リンパ節、皮膚、肝臓、眼などに小さな結節がたくさんでき、臓器機能の低下が起こります。病変組織を顕微鏡で観察すると、非乾酪性類上皮細胞肉芽腫(ひかんらくせい・るいじょうひさいぼう・にくがしゅ)という物体が観察されることが特徴です。 日本の東京医科歯科大学の研究チームが、ニキビの原因菌であるアクネ菌(Propionibacterium acnes)がサルコイドーシスの発症に非常に深く関与しているのではないかという事を論文として発表しています。非乾酪性類上皮細胞肉芽腫の中にアクネ菌が存在する事を複数の手法で証明し、アクネ菌関与説がより強固になったと主張しています。 関連論文の序文(introduction)や考察(discussion)にいろいろ目を通してみますと、実は、日本のサルコイドーシスの研究者達の一部は、サルコイドーシスの発症にアクネ菌が関与している可能性を1980年代には既に主張していたようです。もう三十年近く前です。一方、欧米の研究者達は発症に結核菌(mycobacterium tuberculosis)が関与していると主張してきたそうです。 ところで、クローン病の発症にMAP菌(mycobacterium avium paratuberculosis)が関与しているのではないかという意見がありますが、サルコイドーシスとクローン病の病態に多くの共通点が存在するという事実、またアクネ菌もMAP菌も細胞壁を脱いで免疫機構の探索を逃れて生き延びるという特殊能力を持っているという事実に気が付きました。これら事実に注目して研究を進める事によって、両疾患の解明に同時に道が開ける可能性があるのではないかと思います。 ▽▽▽▽▽▽ ここから内容が少し専門的 ▽▽▽▽▽▽ ニキビ菌(propionibacterium acnes)はグラム陽性、偏性嫌気性の桿菌で、プロピオン酸産生能力を持つ事が特徴です。プロピオン酸は飽和脂肪酸に属する化学物質で、潰瘍性大腸炎の発症に関係があるのではないかと疑われているフソバクテリウム・バリウム菌(fusobacterium varium)が産生する酪酸(らくさん)とは長男と次男のような関係にあります。両者とも濃度が適度ならば細胞にとって活動のためのエネルギー源となりますが、濃度が濃すぎると細胞に対して毒となります。両者とも濃度が濃いと刺激臭がします。ニキビ菌は、人間においては、皮膚や腸管から常に検出される、いわゆる常在菌です。またこの菌は細胞壁を脱いで免疫機構の監視の目を逃れて生き延びるという特殊能力を持っています。脱いだ状態で感染先の細胞内に潜り込んで、そこで増殖するという能力さえも持っています。 サルコイドーシスに対して抗生物質(=抗菌剤)の投与が有効であったという報告が幾つかあるようです。しかし効果がみられなかったという報告もあるようです。クラリスロマイシンを投与しても明らかな効果はみられなかったが、それに重ねてミノマイシンを同時投与してみたところ著明な効果がみられたという報告もあるようで、これは、耐性菌、つまり抗菌剤にさらされても死なない能力を獲得してしまった菌株が存在し、抗菌剤の種類、投与量、組み合わせを慎重に検討しないと除菌は成功しないという可能性があるという事を意味するのかも知れません。胃潰瘍に対するヘリコバクター・ピロリ菌除菌療法でも2剤が同時投与されますし、潰瘍性大腸炎に対するフソバクテリウム・バリウム除菌療法(ATM療法)でも3剤が同時に投与されます。 サルコイドーシスの発症にアクネ菌が関与している根拠 ◆全身性肉芽腫性サルコイドーシスの病変部肉芽腫内にPropionibacterium acnes(アクネ菌)が局在する事が複数の手法で確認された。 ◆日本とドイツの患者の病変組織を調べたところ、8割前後からアクネ菌が検出された。 ◆東京、熊本、イタリア、ドイツ、イギリスの医療施設で採取された患者のリンパ節をPCR法でゲノム探索してみたところ、患者の98%からアクネ菌のDNAが検出された。 ◆定量系PCR法を用いた定量解析で、サルコイドーシスのリンパ節からアクネ菌(Propionibacterium acnes)あるいはP. granulosum由来のDNAが例外なく検出され、その検出量は結核症における結核菌DNA量に匹敵するほど多量であった。 ◆患者から肉芽腫を採取して、その肉芽腫に対する抗体を作成してみると、その抗体はアクネ菌の培養液の上澄み液と特異的に反応した。 ◆アクネ菌が持つtrigger factorタンパク(RP35)をアジュバントと共にマウスに皮下注射してみたところ、一部(25から57パーセント)のマウスで肺にサルコイドーシスに似た肉芽腫性病変ができた。 ◆サルコイドーシスの肉芽腫内に見られるHamazaki-Wesenberg小体はPropionibacteriaが細胞壁を脱いだ、いわゆる「L型」形態である事が示された。 ◆ニキビ患者の治療によく用いられる抗菌剤、ミノマイシンが一部のサルコイドーシス患者に対して有効であるという報告がある。特にクラリスロマイシンと併用する多剤併用療法が有効であるという報告がある。 ◆患者にアクネ菌に対するアレルギー素因が存在する。 クローン病とサルコイドーシスの共通点 ◆両疾患とも、病変組織を顕微鏡で観察すると非乾酪性類上皮細胞肉芽腫が観察され、これが観察されるとほぼ診断が確定する。 ◆発症時年齢をグラフ化してみると、最大ピークが20代に位置する。 ◆世界的にみて、緯度が高い地方ほど発症率が高い。 ◆免疫異常、細菌、環境、化学物質、遺伝子変異、精神的ストレスなどの複数の要素が複雑に絡み合って発症に関与しているとみられている。 ◆血縁者間発症、集団発症の傾向が多少みられる。 ◆「遺伝病」には分類されておらず、発症に遺伝子変異は強く関与していないとされているが、多少関与しているかも知れないとされている遺伝子変異が幾つか報告されている。 ◆クローン病の発症にNOD2遺伝子の変異が多少関与しているのではないかとみられているが、若年発症型サルコイドーシスの発症にもこのNOD2変異が関連しているのではないかという報告がある。 ◆すねに結節性紅斑がみられることがある。 ◆クローン病では、腸壁における炎症が長期にわたり繰り返されると、腸壁組織の繊維化が起こり、線維性腸狭窄症となる事があるが、サルコイドーシスでも、肺における炎症が長期にわたり繰り返されると、肺組織の間質に繊維化が起こり、肺線維症となる事がある。 ◆発症に何らかの細菌が関与しているのではないかと、かなり以前から言われて来ていて、クローン病ではMAP菌(mycobacterium avium paratuberculosis)、サルコイドーシスでは結核菌(mycobacterium tuberculosis)やアクネ菌(propionibacterium acnes)の関与が医学界でずっと言われ続けている。 ◆アクネ菌もMAP菌も、細胞壁を脱いで、ヒトの細胞内に寄生して、免疫細胞の監視の目を逃れながら生き延び、更には、そのような状態、環境においてさえ増殖をし数を増やすという、特殊な能力を持っている。 ◆抗生物質(抗菌剤)の投与で寛解したという報告が幾つかあり、複数の抗菌剤を同時投与したら高い有効率が得られたという報告もある。 ◆発症原因の一つとして免疫異常も関わっているとされ、ステロイド剤や免疫抑制剤(インフリキシマブ、メトトレキセートなど)の投与で一時的に寛解が得られる場合がある。 クローン病とサルコイドーシスの相違点 ◆クローン病の病変がみられるのは口から肛門までの消化管がほとんどだが、逆に、サルコイドーシスはさまざまな臓器に病変がみられる事が特徴である疾患なのに消化管には病変がみられない。 ◆地域別、人種別の発症率の相違を調査してみると、アフリカ系アメリカ人における発症率が、クローン病では他人種よりも相対的に低いが、サルコイドーシスでは逆に他人種よりも相対的に高い。 △△△△△△ ここまで内容が少し専門的 △△△△△△ 【主な情報源】 ◆【難病『サルコイドーシス』は“ニキビ菌”が原因だった】 サイエンスポータル 2012年5月29日 ◆ニキビの原因「アクネ菌」が難病の原因細菌であることを解明 プレスリリース | 国立大学法人 東京医科歯科大学 2012年05月21日 ◆Localization of Propionibacterium acnes in granulomas supports a possible etiologic link between sarcoidosis and the bacterium. Negi M, Takemura T, Guzman J, Uchida K, Furukawa A, Suzuki Y, Iida T, Ishige I, Minami J, Yamada T, Kawachi H, Costabel U, Eishi Y. Mod Pathol. 2012 May 18. PMID: 22596102 <論文要約> <無料全文.html> ◆東京医科歯科大学・人体病理学分野 サルコイドーシスの病因論 ◆Etiologic aspect of sarcoidosis as an allergic endogenous infection caused by Propionibacterium acnes. Eishi Y. Biomed Res Int. 2013;2013:935289. doi: 10.1155/2013/935289. Epub 2013 Jun 16. <論文要約> <無料全文.html> ◆難病情報センター | サルコイドーシス(公費対象) ◆サルコイドーシス: 間質性肺疾患: メルクマニュアル 家庭版 ◆サルコイドーシス: 肺の疾患: メルクマニュアル18版 日本語版 ◆サルコイドーシス病態へのPropionibacterium acnesの関与 中田安成、片岡幹男、木村郁郎 岡山大学医療技術短期大学部紀要,3:19-36,1992 <無料全文.pdf> ◆サルコイドーシス患者肺胞リンパ球のPropionibacterium acnesとの反応 片岡幹男,中田安成 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌 2003;23:23-31 <無料全文.pdf> ◆Propionibacterium acnesとサルコイドーシス 江石義信 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌 2003;23:11-21 <無料全文.pdf> ◆心臓サルコイドーシスの発症機構 -アクネ菌病因説を基盤とした考察- 江石義信 [日サ会誌 2010; 30: 86-88] <無料全文.pdf> ◆ミノサイクリンの追加投与が有効であったサルコイドーシスの1例 山口悦郎,高橋大輔,馬場研二 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌 2008; 28: 87-92 <無料全文.pdf> ◆テトラサイクリンによるサルコイドーシスの治療 山口哲生,在間未佳,山田嘉仁,田中健介,漆山博和,成田裕介,河野千代子 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌 2008; 28: 41-47 <無料全文.pdf>
by pascor
| 2015-02-05 22:54
| クローン病
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