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記事にするのが遅くなりましたが、今年の4月の中旬に、大阪府岸和田(きしわだ)市の丘陵地にある包近(かねちか)町の桃畑へ桃の花を観に行きました。 包近(かねちか)桃選果場の近くに、住民の方々の迷惑にならないような場所を選んで車を停めました。 見事な桃の花が咲いていました。 平地に出てあたりを見回してみますと、一面に桃の花が咲いていました。ちょうど満開の日でした。ちょっとわかりにくいかも知れませんが、丘の上のほうまでずっと桃畑が続いています。(空にかかっている黒い何本かの横筋は高圧電線です)。 日本風民家の屋根と桃の花です。 栽培している農家のかたが摘花作業をしていました。満開になったらすぐにこの作業をしなくてはならないそうで、そのため満開の桃の花が楽しめるのは残念ながら2日間くらいです。桃の花の開花期間は、桜のソメイヨシノよりも多分長いのだと思いますが、市民の観賞のためではなく、果実の栽培が目的のものですので、仕方がないところです。 きりっとした様子のソメイヨシノの花とは違って、桃の花には独特の優しさがあります。 もう少し丘のほうへ近づいてみました。 更にもう少し、丘のほうへ近付いてみました。この桃畑の栽培主のかたがおられ、桃の花について少し会話をしたあと、写真を撮るために農道から桃畑へ入るお許しをいただきました。丘の頂上を目指して、写真を撮りながら畑の中を進みました。 カメラの性能があまりよくありませんので、被写体に直射日光が当たっていると色が白く飛んで写ってしまいます。直射日光が途切れ、程良い照度になった瞬間に撮ったこの日のベストショットです。春が訪れた喜びが花全体から放たれています。 草で覆われた緑の地面が桃の花の良い背景となっています。 丘の斜面から、今登って来たほうを見下ろすように撮りました。 桃畑の最も標高が高い地点あたりから、今登って来たほうを見下ろすように撮りました。「人里離れた静かな土地の桃畑」というのが日本人のあこがれの情景ではありますが、実は、包近の桃畑には工場、道路沿いの店舗、非農家の住宅などがたくさん近接しています。そして寂しいことに、この写真に写っているあたりにつきましては、年々少しずつ桃畑の面積が縮小してきています。 桃の花の美しさは、中国や日本で大昔から称えられてきました。中国の古典、『詩経』(しきょう)には『桃夭』という有名な詩がありまして、美しい花嫁の姿を桃の花に例えて賛美しています。 ところで、包近選果場から季節の最初に出荷されるのは「はなよめ」という早生品種なのだそうですが、この品種の命名者は多分この漢詩を知っていたのだと思います。 桃の花は薬用として用いられるようでして、半開きの蕾を干したものを「桃花」(とうか)または「白桃花」(はくとうか)という生薬(しょうやく)名で呼ぶようです。血液のめぐりを良くする作用、利尿作用、穏やかな下剤としての作用などがあるそうです。 東京の昌平クリニックが潰瘍性大腸炎に対して処方している「桃花湯」には桃花は用いられていないようです。桃花湯は赤石脂、粳米、乾姜の3つの生薬からなっていまして、煎じた液の色が桃の花の色をしていることから「桃花」という名前が付けられたということのようです。 桃の種の硬い殻を割った中にある、アーモンドのような形と色の核は、「桃仁」(とうにん)として良く知られた生薬です。そのままでは少し毒性がありますので、専門家の指導のもとに使用するのが基本です。血液のめぐりを良くする薬効などがあり、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)などの漢方処方に配合されています。 日が暮れるのを待って、フラッシュを焚いて桃の花を撮ってみました。やはり夜の花は昼間とはちょっと様子が違います。妖艶です。 岸和田市包近町の桃は、知っている人の間では美味しい事で有名で、ほとんどは高級贈答用として出荷されるそうなのですが、ちょっとした傷がある「ハネもの」が冒頭で紹介した桃選果場において箱単位で直売され、開店からすぐに売り切れてしまうほどの人気だそうです。草はみは残念ながらここ包近で実った桃をまだ口にできたことはありません(涙)。手に入れる事ができても、あまりにも美味しいので、自分達で全部食べてしまって、おすそわけに回される事が少ないからです。ばちが当たるぞー(笑)。
by pascor
| 2012-11-13 23:11
| 雑記
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