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男性の潰瘍性大腸炎患者はすい臓癌を発症するリスクが約5倍であることを、USAの研究チームが世界最大規模の消化器学会であるDDWで発表したようです。 潰瘍性大腸炎と原発性硬化性胆管炎の間に関連がある事、また、原発性硬化性胆管炎とすい臓癌の間に関連がある事が既に医学界で知られているようなのですが、ならばという事で、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎とクローン病)とすい臓癌の間の関連を研究チームは調べてみたそうです。 ちなみに、原発性硬化性胆管炎(げんぱつせい・こうかせい・たんかんえん)は、肝臓が作った胆汁を十二指腸へ導くための胆管が炎症のために繊維化を起こしてしまう疾患です。繊維化で胆管に狭窄や閉塞ができてしまうと肝臓の機能が落ち、進行が止まらないと死亡する可能性もある疾患です。現在のところ原因不明で、有力な治療法が存在せず、日本では同じく特定疾患(公費研究難病)に指定されています。原発性硬化性胆管炎患者のうち、潰瘍性大腸炎を合併している例は4割近くにもなるそうなのですが、一方で、潰瘍性大腸炎患者のうち原発性硬化性胆管炎を合併している割合はかなり小さいようで、現在1パーセント以下のレベルであるとみられているようです。つまり、かなり稀な疾患のようです。 ユタ州の炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎とクローン病)の成人患者2877人を治験に新規に募集して一定期間観察し、得られたデータをユタ州の医療データベースが所有するデータとつき合わせてみたそうです。その結果、男性の潰瘍性大腸炎患者はすい臓癌を発症するリスクが約5倍だったそうです。女性患者およびクローン病患者と、すい臓癌の関連は今回は検出されなかったそうです。 「(炎症性腸疾患とすい臓癌の発症に)関連性があるだろう事は予想していたが、数字の大きさにちょっとびっくりした」と研究者はコメントしているようです。 すい臓癌を発症した患者の人数は、直感しやすいように「1625人の炎症性腸疾患患者を1年間観察した」というスケールに換算して、7人だったそうです。つまり、1年間で0.4パーセントです。ただし、今回の結果だけをもって、潰瘍性大腸炎の男性患者全員が定期的にすい臓癌の検診を受けなければならないという事ではなく、今後の更なる研究が必要であると、研究者はコメントしているようです。また、USAの一地方で研究結果ですので、日本では数字が違う可能性もあります。ちなみに、ユタ州はどうやら白人の住民が多いようです。 一般に、すい臓癌の発症リスクを上昇させる要因として過度な喫煙と過度な飲酒があげられていますが、潰瘍性大腸炎の男性患者は特に気をつけたほうがいいという事になるかも知れません。すい臓癌は早期発見が難しく、5年生存率が癌疾患の中でも低い事が知られています。今後の研究に注目したいと思います。一方で、炎症性腸疾患と1型糖尿病(インスリン依存型糖尿病)の両方を発症する人も多く、炎症性腸疾患とすい臓疾患の関連の研究が炎症性腸疾患の発症原因解明につながる可能性もありますので、期待したいところです。 【情報源】 ◆Ulcerative colitis in men linked to increased risk for pancreatic cancer. (英語) Posted May 4, 2010 - HemOnc Today
by pascor
| 2010-06-08 21:52
| 両疾患共通
|
Comments(4)
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9猫飼い
at 2010-06-12 00:13
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草はみさん ご無沙汰しております
猫の話で恐縮なのですが(汗) IBD罹患猫は、胆管肝炎とすい臓炎を併発することが多いんです 種は違えど同じ哺乳類、共通点も多々ありそうでなさそうで ところで、ずいぶん前の話ですが、風邪を引いてリンパが腫れたとき ものの試しにと、板藍根の生薬を飲んでみたことがあります うちのヤツと一緒に飲んだのですが、 私は甘く美味しく感じ、1包でリンパの腫れは引き ヤツは苦く不味く感じ風邪が悪化しました 体質(漢方では証といいますね)の違いで こんなにも味の感じ方と効き目が違うんだなって思いましたよ
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草はみ
at 2010-06-12 14:36
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9猫飼いさん、お久しぶりです。
炎症性腸疾患猫も胆管炎やすい臓炎を合併する傾向があるんですね。人間と本当に良く似ていますね。別のものとは思えないですね。 という事は、エサの中に含まれているものが発症原因であると仮定すれば、キャットフードに含まれる物の中に原因物質があるという可能性が高くなりますから、結構狭い範囲を分析すれば炎症性腸疾患の原因が解明されるかも知れません。 「ヤツ」というのは人間でしょうか、それともやはり猫の事でしょうか? 板藍根は体を冷やす方向に持っていく生薬です。中国では盛んに使われているようですが、中国料理には冷え性にならないようにニンニク、ショウガ、ネギのみじん切りが盛んに使われていますので、それらと打ち消されて、体が冷えてしまうという副作用は出にくいのかも知れません。
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9猫飼い
at 2010-06-14 21:35
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「ヤツ」とは人間ですー 分かりずらかったですね
ネットなどでよく見る「証」の一般的な分け方によると どうやら私は「実」、ヤツは「虚」のようです 板藍根は寒の気を持つということですので 「実証」の私にはバッチリ合っていたということでしょうね ところで、タデアイの タデ というのは タデ食う虫も...のタデですよね すすすす凄く不味そうなのですが(笑) 元気にお育ちになることをお祈りしています
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草はみ
at 2010-06-15 22:22
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9猫飼いさん
>ところで、タデアイの タデ というのはタデ食う虫も...のタデですよね そうです。藍で染めたものは虫除けの効果があるそうで、庭掃除などの時に着る作務衣(さむえ)は藍で染められています。もともと作業着であるジーンズも藍で染められています。その藍の原料であるタデアイの葉を食べる虫がいるのは驚きだという意味だと思います。刺身に添えられているタデの芽は、そんなには不味くはないです。 タデ科の植物にイタドリというのがあるのですが、これを食べる虫がイギリスにはおらず、繁茂し過ぎて問題となっているそうです。最近「タデを食う虫」を日本から輸入する事に決めたのだそうです。いいのかな、、、 (;^^)
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